デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06画集ではキャンバスなどの支持体にクレヨンや絵の具など画材で描かれた絵画を、印刷用紙とCMYKのインキで再現します。作品の持つ質感に印刷の仕上がりを近づけるには、校正の作業が大切です。
日頃デザインのお仕事でお世話になっているhooopの武田様から画集を作りたいと相談を頂きました。変形A4サイズで、152ページほぼ全ページに作品写真が入ります。全て本機色校正を出したいところですがコスト面で厳しい。そこで本機校正と簡易校正を組み合わせたご提案しました。どのような手順で行ったかをご紹介します。
本機校正は、本番と同じ紙と印刷機で行います。コストは高いですが、本番時に色のぶれは殆どありません。簡易校正は、オフセット印刷機に色を近づけたインクジェットプリンターで印刷します。使用する用紙がインクジェット用の専用紙であり、ファンシーペーパーを使用した印刷物などの場合は特に本番の仕上がりとは差が出てしまいます。以前のブログでも本機校正と簡易校正について取り上げています。詳しくは色校正を選ぶコツ
伊藤様の作品は木炭と鉛筆で描かれていて白と黒の階調が印象的です。画材の色は同じですが制作時期が幅広く、用紙の色味の差や撮影・スキャンの環境の違いも活かした画集にしたいというご要望を頂きました。印刷の「黒」についてのブログは印刷における黒(スミ)の上手な使い方
本来なら全部本機色校正を取りたい所ですが、予算を大きく越えてしまいます。そこで、確認するポイントを決め、三段階で校正作業を実施する事で、本機校正に近い効果を得られるような方法で進めました。
全ての写真を赤っぽい黒、青っぽい黒など、色の方向性ごとに分類。各方向性の代表作品を本機校正で印刷し、仕上がりの色合いやニュアンスの違いを確認しました。
一段階の結果を基に数十点をピックアップ、各方向性ごとに補正内容を決めて同じ補正を行いました。補正後のデータを本機校正と簡易校正でそれぞれ出して、仕上がりの差を比較しました。
全ページ38台分を簡易校正出力し、簡易校正と本機校正の仕上がりの差を補完して本印刷しました。
カラー修正は、CMYK入稿だと、既に色域が狭くなっている状態から補正する事になってしまいます。RGBデータで頂けば、CMYKよりも色域が広いところから補正できるので再現性を高める事ができます。
RGBの事を書いたブログ
RGBからCMYKに変換する方法、
RGBとCMYKの違い 印刷会社のつぶやき。
RGBデータの印刷について
印刷したい内容を、しっかりと色校正で確認して最高の状態にしたい気持ちは皆様お持ちだと思います。どうしてもコストの面で厳しい。そんな時はご相談してください。どうやったら予算内に収められるかを、営業だけでなく職人も交えて皆様と一緒に考えます。
作品名
伊藤八枝画集ー白と黒の世界ー
仕様
280×220ミリ152ページ(カラー140ページ、モノクロ12ページ)
PURガンダレ無線綴じ製本、表紙マットPP、前後見返し
用紙
表紙アートポスト4/6 200k、見返しTANT N-53、本文サテン金藤4/6 135k
企画・デザイン:hooop武田様
DTP・印刷:サンコー 渡邉・井上・待鳥・澤中・山中
製本:篠原紙工様
作品のお問合せはhooop武田様までお願いします。
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
毎週火曜日の夜8時から。紙のこと、デザインのこと、印刷のことについて、 ゆるゆると語る30分。
03-5608-5741
(お気軽にお問い合わせください|平日 10:00~18:00)