デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06ひと言で「印刷の黒」と言っても、表現方法は様々です。デザイナーさんのご要望に合わせて提案する内容も変わってきます。これから紹介する黒の仕組みを知れば、ワンランク上の黒の表現が出来ること間違いなし!是非、印刷会社にこんな風に相談してみてください。
スミ1色の文字ものや、モノクロページなど、一般的なCMYKの「K」のみで印刷することもあるかと思います。その場合、印圧を上げることで全体的な濃度アップが図れます。ベタ面がある時など、インキの乗りが悪い時に使う手法です。やりすぎると文字が潰れてしまったり、モノクロ写真のシャープさがなくなってしまうことも。
リッチブラックという名前の通り「贅沢な黒」というだけあって、K100%の他にCMYを混ぜ合わせて表現する黒のことを言います。K100%に対して、CMYはそれぞれ40%程度までが基本です。それ以上やりすぎると乾きが悪くなったり、裏移りの原因にもなりますのでご注意を。用途は広範囲のベタ面によく使われます。ただ、小さな文字や細い線、白抜き文字がある場合は、僅かな印刷ズレが起きた場合に滲んで見えることがあります。
CMYK全て100%にすることをレジストレーションといい、基本的に印刷時のガイドとなるトンボのみで使用する手法です。まれに気付かずデザイン内で使用している時もありますのでご入稿時にはご確認ください。
黒はCMYKのKだけではなく、メーカーで特別に配合した黒インキというものも存在します。女神インキの「スーパーブラック」、TOKAの「デビルブラック」や「サタンブラック」、マットな黒が表現できるDICの「マットスミ」などは有名です。どれも漆黒度は高く、中でもデビルブラックは青系なのでデザインによって使い分けることが出来ます。特色の黒インキで印圧を上げる組み合わせは、より黒く、キレイに仕上がるので、一番のおススメです!
CMYKフルカラー印刷で、薄い黒(グレー)を表現しようとする場合、K100%の濃度を落として印刷することが多いです。ただ、細く小さな文字などの場合、輪郭がはっきりしない、ギザギザな文字で印刷されることもあります。解決方法としては、通常175線で印刷している線数を高精細の300線に上げることで解決できます。
高精細を使ったブログ「たくさんのこだわりが詰まっている高精細印刷」はこちら
Kの濃度だけでグレーを表現すると、あっさりとした表現になることがあります。特に広範囲にグレーを表現するときなどに多いです。その場合、CMYKでグレーを表現することになりますが、周りの写真や絵柄との兼ね合いで、赤や青に転んだグレーになることもあります。そんな時は、CMYの3色だけでグレーを表現するのではなく、Kを主体として、他の3色を補色で使うことがおススメです。
確実にキレイに、イメージ通りなグレーに仕上げるならこの方法。プロセスカラー+特色グレーの5色印刷なら、CMYKの中でグレーを表現するときに発生するデメリットが解決します。もちろん、特色グレー1色のみの印刷なら、この方法一択ですね。
今回は黒(スミ)のお話をしてきましたが、キンアカも表現が難しい色の仲間でもあります。MとYで表現したり、特色の赤を使ったりしてお客様のイメージに近くなるように試行錯誤を繰り返しています。キンアカの仕組みもサンコーのブログで紹介していますので是非ご覧ください。
サンコーブログ「金赤と呼ばれる色を表にしました」はこちら
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
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