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高等印刷講座を開講しました

公開日 2024.06.28   更新日 2024.07.01

「既に印刷工場の見学経験を有する、または印刷会社との交渉を経て印刷物の発注実績を有するデザイナー」さんに向けて行った「高等印刷講座」。実際の印刷事例をご覧頂きながら、印刷をより良くするために行う細かな調整技術をたっぷり解説しました。受講人数は申込み開始から数日で満席になり、増席を希望するご連絡も多く頂く程でした。ご参加頂いたのは、グラフィックデザイナーさん、webやアプリのUXなどRGBで仕事をするデザイナーさん、出版者さんなど、印刷発注にお悩みの方々で、会場であるco-labに到着した時から皆さんからは高揚感が伝わってきました。

RGBからCMYKへの変換

まず説明させて頂いたのは、「RGBからCMYKへの変換方法は1つではないということ」。デザインを制作するのはPCのモニターなので、デザイナーさんの色のイメージはRGBです。しかし、カラー印刷はシアンC、マゼンタM、イエローYの3色と黒K(キープレートと呼ばれています)で表現されるため、色味は変化します。さらに使用する紙でも色味が変わります。そのため、よりイメージ通りの色に印刷するためには、RGBからCMYKに変換する方法から考える必要があります。
印刷実験室でも色の変換方法を変えた場合に印刷の色味がそれぞれどのように違うのかを実験してきました。実験室での結果をもとに、RGBからCMYKへの変換方法をKをメインにCKYを補色として使うことで、写真の色味を残しながらグレーの表現に一貫性を出した事例や、製品はCMY主体、背景はKのみでCMYKへの変換を行い、サムネイルの背景色を安定させた事例をご紹介。参加者の皆さんにはルーペで印刷物をご覧いただき、分解方法と仕上がりの関係を学んで頂きました。

色分解① 色分解②

 

校正でどれくらいのことが調整できるか、データごとに背景の色味が違う場合にどの部分をどのように色分解しているかなど沢山のご質問やご反応をいただきました。

トラッピングによる版ずれ防止

2つ目のテーマは、オフセット印刷特有のトラブルである版ずれの対策についてです。版ずれ対策には大きく2種類あり、一つは色が重なる部分で隙間ができて紙の白が出てしまうのを防ぐ「トラッピング」です。もう一つは印刷物の文字を強調させるため、文字の上にも色を載せ、文字と地色の間に白が出てしまうことを防ぐ「オーバープリント」です。特色6色のカレンダーを題材に、トラッピングをかけることで別の色が出てしまいデザインを壊してしまうことを避けるために、トラッピングを掛ける、掛けないの判断を色ごとに行った事例をご説明しました。また通常のトラッピングは色が重なる部分で一方の色を太らせるのですが、ある冊子の表紙では2色とも太らせることで、白抜き文字に色が出てしまうトラブルを防止した事例もご紹介。参加者からは「トラッピングでは何ミリ色を重ねているのか?」「乾燥工程でどの程度のずれが発生するのか?」といった質問が出ていました。

 

実物を見るから「こんなことをしたい!」が膨らむ

講座が終わっても「Adobeソフト以外で作成したデザインデータを印刷する場合はどのようにしたら良いか?」「どこからの作業を印刷会社にお願いしたら良いか?」「正しい入稿データの作り方は?」などの質問が続きました。

ニュー紙と印刷とラジオでは、ラジオの他にリアルなイベントもこれからも開催します。紙を愛して止まない人たちに向けたマニアックなものから、紙に近寄る機会の少ない人に向けた間口の広いものまで開催していきたいと考えています。皆さんのご希望もお聞きしながらゆるゆるとやっていきますので、紙や印刷に関する質問やラジオに関するご要望、お待ちしております。

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