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紙と印刷とお金(紙編)| 紙と印刷とラジオ 第15回

公開日 2020.10.21   更新日 2023.06.20

10月になって冷えてきました。そろそろコートとマフラーを取り出す時期ですね。西谷さんはコートもマフラーも無縁ですが、有薗は極度に防寒具必須。印刷も同じくらい寒さには弱い現場です。静電気が紙に起きないように湿度55%を維持するため加湿器を作業場内で回し、インキが固まらないように温度管理もしていますが、紙の搬出などの出入りで途端に外気が入ってきてしまい機械やインキへの気配りがさらに必要になります。今回は紙にかかるお金のお話をしていきます。

動かす単位が大きい紙

紙はとても一度に扱う量が多いので、紙の金額は肉の測り売りのようにキログラムで単価を提示します。160ページの本を1万冊作るといった仕事も珍しいことではないので、本文用紙(書籍の本文を印刷するための紙)の使用料はトンの重さになります。平和紙業では名刺カードや本の表紙の発注を受けることの方が多いので枚数のまま単位を計算しますが、紙の業界では少量の取扱でもキログラムで単価を計算することがほとんどだそうです。

1枚あたりの値段はどのように設定されているのか

コート紙、マット紙などの一般印刷用紙は、キログラム単価で価格を計算するため、1枚あたりの値段は紙の厚さによって異なります。従って65キロの紙と130キロの紙があった場合に65キロの紙2枚と130キロの紙1枚は同じ価格です。
アラベールのようなファンシーペーパーは、上質紙のような一般印刷用紙よりも数倍高いです。これは、独特の風合いを持つファンシーペーパーは一般紙よりも製造の手間がかかるため、価格が変わってきます。また染料代や染める際に出るくず代がかかるため、一般的には色味が濃い程値段は高くなります。

少ない枚数で紙を購入するのはおすすめしません

紙は大半が100枚単位で包装紙に入って売られているため、1枚のみで個別に売る場合は一度包装を破き、再度包装紙でくるむため包装代が重複してかかります。また、1〜49枚、50〜99枚、それ以上は100枚単位ごとに価格設定が違うため、個別で紙を購入すると割高です。ある程度束で紙を購入する場合も例えばPHOという紙をA4で1000枚購入するとすると、100枚を10セット購入となり10300円、そこに紙のカット代が700~800円かかりますが、 同じA4を600枚購入するとなると1枚が187円と1.8倍になるためカット代を含めない合計が11950円となって高くなります。枚毎に購入することは合理性がないため、なるべく包単価での購入をおすすめします。ちなみに連単価(1000枚単位)は包単価よりもボリュームディスカウント出来ますが、枚単価に比べてあまり価格に大きな差はありません。また、紙は、製造時に紙を乾燥させるために重油などの燃料を大量に使うため、原油の価格が上がると一般紙の価格は上がります。オイルショックの時にトイレットペーパーの取り合いになったのはそれが影響しています。

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