トップ 多くの人のおもいを、ビジョンとして可視化する

多くの人のおもいを、ビジョンとして可視化する

公開日 2021.02.15   更新日 2023.05.17

不透明な時代だからこそ、関係者が希望を感じるようなビジョンづくりが求められます。今回は糸魚川市の「緑でつなぐ未来創造会議」(通称3M、さんえむ)のビジョンづくりをお手伝いしました。3Mは糸魚川市内で森に関わる様々な業種の経営者と行政とが一体となり、森林を活用した、新しい経済循環を実現しようとしている団体です。

右脳からのビジョンマップづくり

当初ご依頼いただいたのは、森林活用の経済効果に関する調査結果を、ビジュアル化することでした。いわば左脳で調査したことを右脳で表現する進め方です。しかし、調査結果をイラスト化するだけで、森林の持つ可能性を伝えられるだろうか。そして、関係者が共感し、実現したいビジュアルになるだろうか。そんな疑問が浮かんだので、ワークショップを通じて関係者が「こんな未来を目指したい」という思いを語り合い、それをビジュアル化して数値目標を入れ込むという、右脳で考え左脳で表現するという進め方をご提案しました。

右脳からのビジョンづくりこんな提案をさせて頂きました。ブランドコンセプトを作るためのワークショップは経験がありますが、ビジョンを描くワークショップ。それも3Mに集まる様々な立場の方が参加するワークショップは、サンコーとしても初めての経験。緊張しますが準備を進めます。

 

グラレコを使ったワークショップ

ビジョンマップミーティングの様子様々な業種の方が集まりました

何度も事前ミーティングを重ね、10月に林業・製材・建築・木材加工・行政といった3Mのメンバーに加えて、森林活用の影響を受ける農業・漁業・観光業の方が加わり、約20名のワークショップを開催しました。
今回は、グラフィックレコーダーとして、関さんに入って頂きました。ディスカッションの内容を、その場でどんどんイラストにしていきます。

グラフィックレコーディング発表を聞きながら、その場でグラフィック化していきます。関さんすごい・・・!

アイスブレイクで場が温まったら「このまま行くと森はどうなってしまうか」という危機感を共有するワークからスタート。糸魚川市では面積の87%が森林で、その広さは東京23区の面積を上回ります。しかし、間伐が追いつかず全国と比較して木の高齢化が進んでいます。さらに森がお金を生まないために持ち主不明の森が増え、手入れに入ることもできない。そんな悪循環が起きています。
その次のワークでは、「糸魚川のどんなところを子や孫たちに残していきたいか」を語り合います。さらに、「そのような町を残すために、自分たちの世代でやめるべきこと、新たに始めることは何か?」について話し合います。普段の肩書を外し町の未来を考えてもらうことで、より自由に発想して貰うことが目的です。

ビジョンマップミーティング グラレコワーク1から3までが終わると同時に、その内容がビジュアル化されます。

ここまでのワークをビジュアルでふり返ります。
そして、最後のワークとして「森林資源の活用を通じて、どんな未来を次の世代にのこしていくか?」を考え、ビジョンマップが完成しました。

ビジョンマップミーティングみんなが考えたビジョンが、その場で1枚のマップになりました。

ワークショップの効果を高める

参加者の皆さんの思いが詰まったビジョンマップを、絵にかいた餅に終わらせないために、もう一歩踏み込んでいきます。今回の参加者は、森林に関わる事業をしている経営者や役所の職員の方々。森林活用の当事者である皆さんは、このマップの実現に対してどのように関わっていくかを宣言して、マップの該当箇所に貼り付けて頂きました。

ビジョンマップミーティング発表されている方のイラストも、グラフィッカーの関さんがワークショップ中に描きました。 ビジョンマップミーティングご自身が関わりそうな箇所に貼ってもらいます。

イラストを通じて伝わるカタチに

関係者で作り上げたビジョンに町の人たちが共感し、日々の暮らしで地域の木材を使って初めて実現します。市民に向けてこのビジョンを伝えるためのリーフレットとポスターの制作に入ります。
ビジョンマップミーティングで描いたビジョンを、イラストとして描きこみます。森を切り、建物の構造材や家具や発電の燃料として活用し、新たに植える。これらのサイクルが回ることで、農業や水産業が健全に保たれ、美しい自然を楽しむグリーンツーリズムが活発になる。そんな未来をビジュアルに表現しました。

ビジョンマップ完成版森を切る人、使う人、育てる人のサイクルで森が健やかに保たれ、農業や漁業も発展します。

ビジョンを明確にすること

多くの人の心には、「こんな風になったらうまく行くのに」といったビジョンのタネがあります。しかし、それを人に説明し共感を生むようなビジョンに育てるのはとても難しいことです。特に、今回のように多くの当事者がいる場合には難易度があがります。
出来上がったリーフレットやポスターをご覧になった3Mの参加者の皆さんから「自社の採用で使いたい。」「学校の授業で使いたい。」そんな声をたくさん頂きました。当初の予定から印刷枚数が大幅に増えたことは、印刷会社として嬉しいのはもちろんですが、ワークショップに参加された皆さんが自分事としてビジョンを捉えることで、ゆたかな森からゆたかな暮らしが必ず達成されると確信できました。

3M VISION MAP ポスター・リーフレット

企画・ディレクション:有薗悦克(サンコー)
グラフィックレコーディング:関美穂子(アラワス)
イラスト・デザイン:鈴木潤・金子玲子(インクデザイン)
コピー・テキスト:岡島梓
進行管理:岡部和彦(サンコー)
DTP:小澤広政(サンコー)
印刷:福沢彦之(サンコー)
断裁・製本:権平拓人(サンコー)
ポスター印刷:株式会社サンエープリント

 

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