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本機校正と簡易校正を組み合わせて色を把握する

公開日 2024.04.11   更新日 2024.04.11

画集ではキャンバスなどの支持体にクレヨンや絵の具など画材で描かれた絵画を、印刷用紙とCMYKのインキで再現します。作品の持つ質感に印刷の仕上がりを近づけるには、校正の作業が大切です。
日頃デザインのお仕事でお世話になっているhooopの武田様から画集を作りたいと相談を頂きました。変形A4サイズで、152ページほぼ全ページに作品写真が入ります。全て本機色校正を出したいところですがコスト面で厳しい。そこで本機校正と簡易校正を組み合わせたご提案しました。どのような手順で行ったかをご紹介します。

本機校正と簡易校正の違い

本機校正は、本番と同じ紙と印刷機で行います。コストは高いですが、本番時に色のぶれは殆どありません。簡易校正は、オフセット印刷機に色を近づけたインクジェットプリンターで印刷します。使用する用紙がインクジェット用の専用紙であり、ファンシーペーパーを使用した印刷物などの場合は特に本番の仕上がりとは差が出てしまいます。以前のブログでも本機校正と簡易校正について取り上げています。詳しくは色校正を選ぶコツ

ポイントを決めて三段階の色校正をおこなう

伊藤様の作品は木炭と鉛筆で描かれていて白と黒の階調が印象的です。画材の色は同じですが制作時期が幅広く、用紙の色味の差や撮影・スキャンの環境の違いも活かした画集にしたいというご要望を頂きました。印刷の「黒」についてのブログは印刷における黒(スミ)の上手な使い方
本来なら全部本機色校正を取りたい所ですが、予算を大きく越えてしまいます。そこで、確認するポイントを決め、三段階で校正作業を実施する事で、本機校正に近い効果を得られるような方法で進めました。

作品の色分類用本機校正(本機校正1台)

全ての写真を赤っぽい黒、青っぽい黒など、色の方向性ごとに分類。各方向性の代表作品を本機校正で印刷し、仕上がりの色合いやニュアンスの違いを確認しました。

色の方向性ごとの修正内容、本機校正と簡易校正の差の比較(本機校正5台、簡易校正5台)

一段階の結果を基に数十点をピックアップ、各方向性ごとに補正内容を決めて同じ補正を行いました。補正後のデータを本機校正と簡易校正でそれぞれ出して、仕上がりの差を比較しました。

色校正比較(左が簡易校正、右が本機校正)色校正比較(左が簡易校正、右が本機校正)

データの最終確認兼、印刷方向性の指標(簡易校正38台)

全ページ38台分を簡易校正出力し、簡易校正と本機校正の仕上がりの差を補完して本印刷しました。

簡易校正でそれぞれの黒と、バック用紙の色合いを確認します。簡易校正でそれぞれの黒と、バック用紙の色合いを確認します。

写真はRGB入稿からサンコーで補正

カラー修正は、CMYK入稿だと、既に色域が狭くなっている状態から補正する事になってしまいます。RGBデータで頂けば、CMYKよりも色域が広いところから補正できるので再現性を高める事ができます。
RGBの事を書いたブログ
RGBからCMYKに変換する方法、
RGBとCMYKの違い 印刷会社のつぶやき。
RGBデータの印刷について

印刷したい内容を、しっかりと色校正で確認して最高の状態にしたい気持ちは皆様お持ちだと思います。どうしてもコストの面で厳しい。そんな時はご相談してください。どうやったら予算内に収められるかを、営業だけでなく職人も交えて皆様と一緒に考えます。

伊藤八枝画集

作品名
伊藤八枝画集ー白と黒の世界ー
仕様
280×220ミリ152ページ(カラー140ページ、モノクロ12ページ)
PURガンダレ無線綴じ製本、表紙マットPP、前後見返し
用紙
表紙アートポスト4/6 200k、見返しTANT N-53、本文サテン金藤4/6 135k
企画・デザイン:hooop武田様 
DTP・印刷:サンコー 渡邉・井上・待鳥・澤中・山中
製本:篠原紙工様 
作品のお問合せはhooop武田様までお願いします。

 

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