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アクリル印刷研究。

公開日 2020.05.25   更新日 2023.05.17

この度お手伝いさせていただいたのは、アクリル板への印刷!
加藤文明社さまとのご縁をきっかけに、 「#きもポップ」をテーマに絵を描かれているアーティストの@curry_dddさまよりご相談をいただきました。ありがとうございます。

早速ですが 完成後の作品がこちら。
30センチ角のアクリル板が2枚重なっていて奥行きと立体感があります。かわいい絵にどことなく漂うクールさが目を惹く、世界観が素敵な作品。

どうやって作るの?

はじめに制作工程を教えていただきました。
1.透明のアクリル板に黒で線画を印刷(UVインクジェット)
2.線画の上から絵の具で着色
3.もう1枚のアクリル板(ピンク色のラメ入り)を後ろにビスでつなぎ合わせる!

サンコーでは1をお手伝い。線画の印刷にあたって、このようなご相談をいただきました。

着色時、絵の具の筆跡が表から透けないようにしたい。

透けないためにはどうしたら?インクを厚く盛る…?そもそも通常どのくらい透けるの…?早速試してみることに。

実験スタート

①紙におきかえて考えてみる。

CMYKの4色を使って印刷しているUVインクジェット。そこでK100ではなく、リッチブラックで印刷をしたら濃くなるかも?

墨ベタ:「K(黒)」のインキが100%の濃度で表現されている黒のこと。
リッチブラック:CMYKすべてのインキを絶妙に配合した黒のこと。
紙への印刷において、一般的に墨ベタよりもリッチブラックの方が濃く、深い黒を表現できるといわれています。

②物理的にインキを盛る。

濃くしたい→じゃあその分インキをたくさん乗せてみよう。(ストレートな発想)

K100、リッチブラック、インキを厚く盛る。この3つを端材のアクリルで試してみます。 そこでDTPオペレータ-がこんなデータを作成しました。

バーコード?のような太い線。左にあるインキの濃度と、右の長方形がリンクしています。一番上が墨ベタ。一番下がリッチブラック最大。中間も少しずつ濃度を変えています。

そのデータをアクリルに印刷するとこんな感じに!

同じデータで、インキ量を変えて3つ作成。左からインキ量1回分の1度刷り、2倍の2度刷り、3倍の3度刷りです。(写真に撮るのが難しい涙)

真っ黒になった3度刷りから見ていきます。リッチブラックも、K100 も、濃く出ています。光にあてると中間がやや薄い。

じつは裏面に、赤のマジックで書いた線と、白の絵の具を塗っていました。表から見て、筆跡が透けていないことがわかりました。3度刷りなら問題なさそうですね。

続いて1度刷りがこちら。どうにか伝わってほしいのですが、左のリッチブラックよりも、右のK100 の方が濃くなりました。紙のようにインキが吸収されないと、墨ベタの方が濃くなるんですね。

裏面の赤ペンは丸見え…。以上の結果から、K100・3回分のインキ量で印刷することに確定。

早速UVインクジェット機にアクリル板をセット。ヘッドが左右に動き、平行に線を重ねてインキがのっていきます。インキは紫外線ですぐに硬化。

終了直後の様子。(四方の穴開けも弊社のレーザーカッターで行っています。)その後@curry_dddさまにて着色、ピンクのラメ入りアクリルと組み合わせて、作品が完成しました。

無事にできてこちらも一安心。 またひとつ身になりまして、お手伝いさせていただきありがとうございました。サンコーでは、紙への印刷はもちろんアクリルへの印刷も、ご相談お待ちしております。ちょっと凝ったものでも!職人の腕でお応えいたします。

イラスト・作品:@curry_ddd

 

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