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「これからが印刷の時代」は本当だったのか?

公開日 2024.01.04   更新日 2023.12.28

2024年のサンコーの年賀状は「同期は、オフセット印刷機になった。」から始まる短編のSF小説です。人が突然変身してしまう奇病がパンデミックとなった2024年。ある印刷会社では同期入社の社員が印刷機に変身しました。同期の社員だった印刷機が解体される前に「必要とされる限り、印刷は消えない」と出力する。というお話しです。

 

これからが印刷の時代。

2021年の「削る年賀状」を通じて、情報を伝えるメディアではなく五感で伝わるメディアとして、これからが印刷物の時代だと宣言しました。そのメッセージは多くの方の共感を呼び、メディアの取材を受けたり、印刷業界を扱った漫画でご紹介頂いたりしました。その後も2022年「破る年賀状」2023年「触りたくなる年賀状」と、紙であることの意味、紙にしかできない表現を年賀状を通じて考え、発信してきました。

紙の執行猶予

今年の年賀状を考えるにあたり、まず行ったことはデザインをお願いしたインクデザインさんと「2024年における紙はどんな状態になっているのか?」というディスカッションをすることです。「環境意識の高まりから、読まずに捨てるDMを送ってくる企業に対して嫌悪感を抱くようになった。」「森を切ってパルプを作り、大量の水と熱を使って紙を作り、有機溶剤を使って印刷し、トラックを使って運ぶ。という印刷物の環境負荷の大きさをより意識するようになり、その負荷を掛けてでも印刷するべきコンテンツなのかを考えるようになった。」など時代の空気を感じる敏感なセンサーを持つデザイナーとの対話を通じて、環境意識の高まりと共に高まる印刷物に対するネガティブな印象が強まっていることがわかりました。
また印刷市場はコロナ禍が明けても規模の縮小が止まっておらず、用紙メーカーや印刷機メーカーは事業戦略の転換を考え始めています。資材が提供されなくなったり極端に値上がりしたら、私たちのような小さな会社は事業を続けられません。平常心バイアスは身を亡ぼすかもしれない。そんなこともこの年賀状を通じてで伝えていきたい。
多くの印刷物はいつか捨てられる運命を負っています。紙の価値を高めるというのは、捨てるという紙にとっての刑の執行をどれだけ伸ばせるのか、いわば「紙の執行猶予」をする行為ではないか。そんな概念が見えてきました。そこで「紙の執行猶予」をテーマにアイディアを深堀りしていきました。
このようなステップで明らかになったメッセージを伝えるにはSF小説がいいのではないか?このように企画の概要が固まっていきました。

 

紙とデジタルの橋渡し

インクデザインさんから上がってきた小説案は2つ。どちらもとても面白く、1つに決めるのは大変でした。そこで問題となるのは、短編小説と言えども1000文字近くありはがきサイズに収まらないこと。しかし年賀はがきというフォーマットを逸脱した印刷物を送るのは無粋です。書籍をイメージさせる往復はがきサイズにし、小説の後半部分はサイトに移行して読んでいただくことにしました。
せっかくサイトに遷移するのだから、どこまで読み進めて頂けたか分かるようにページを複数に分割。内容をしっかり読んで欲しいから、デザイン要素は極力排除し、CTAもつけないシンプルなサイトをSoichiroさんに作って頂きました。

紙orデジタルから紙&デジタルへ

2023年に生成AIが一気に普及し、デジタルメディアの利便性はさらに上がりました。私たちはこれからも紙にこだわりますが、そのこだわりが原因でデジタルで世界が進化することに目を背けるようなことがあってはいけません。そのためこの年賀状の制作では、テーマを出す段階、文章の推敲、表紙のイラストなど様々な場面で人間とAIが協働しています。
変身病がパンデミックとなっても、不要不急な仕事をすることで印刷機に変身してしまわないように、私たちは紙orデジタルという二者択一の考え方ではなく、紙&デジタルという考え方を大切にしたい。そんな風に考えています。

年賀状お送りします

こちらのフォームに入力頂ければ「同期は、オフセット印刷機になった。」年賀状を無料でお送りしています。プレゼントは印刷した年賀状がなくなり次第終了します。


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