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紙と印刷とパッケージ【後編】 | 紙と印刷とラジオ 第131回

公開日 2023.04.06   更新日 2023.05.17

先日、POCさんにゲストとしてお越しいただき「代理店時代にパッケージについてどこに相談をしたら良いかわからなかった。」とのお話しがあったので、前回、今回とパッケージをテーマにしています。前回はパッケージの役割や、段ボール箱、貼り箱、組み箱という3つの種類について説明し、ディスプレイとしての役割や、パッケージにおけるサステナブルについても語りました。後編である今回は、「パッケージをつくるにはどうしたらよいか?」をメインに語りました。

パッケージにかけるコストという視点

どこに箱の役割を置くかで変わってきます。商品を保護することが主たる目的であればコストを極力抑える方向にいくでしょう。一方でブランドメッセージを伝えるメディアを目的にすると、価値を伝えるためにコストをかけても良いものを作りたいという意識になります。要するにコストを考える前に、保護なのかブランディングなのか、パッケージの目的を明確にすることが大切です。

商品を保護するパッケージという視点

重量のある商品やガラスやビンなどの割れ物を入れるパッケージは、自ずと保護の役割が大きくなります。3種類のパッケージを強度の高い方から順に説明すると以下の通りになります。

段ボール

強度では段ボール箱が優秀です。この段ボールは中芯部分の波の高さによって、A(5㎜)、B(4㎜)、C(3㎜)、E(1.5m)、F(1.1㎜)、G段(0.9㎜)6段に分類されます。D段がなぜないのか?その理由はわかりません・・・。

貼箱

中芯が入っているため、組み箱より強度があると言われています。特に面の強度は高いことが多いです。実際の強度に加えて、箱のしっかり感を求めて貼り箱を選ばれるケースが多いようです。また、保護を重視する場合には仕切り(ゲス)も大切な役割を果たします。

組み箱

強度では劣りますが厚紙を抜いて組むだけの組み箱は、シンプルで簡単に作れることがメリットです。パッケージで使われる紙は四六判180kgから36okgぐらいが一般的です。180㎏だとボックスティッシュなど小さくて軽いものが中心で、360kgになると日本酒の四合瓶など多少重ためのものにも使われます。

パッケージの制作はどこに頼む?

使われる設備が異なるため、3種類のパッケージ全てを製造できる会社は多くありません。従って、作りたいものが決まっている場合には、その設備を持った会社を選定することが大切です。ただ、製本や箔押しなどの加工会社さんと同様に、パッケージ会社の中には業界内の下請け仕事を専門にやっていて、仕様を決めることから相談に乗ることを得意としない会社さんもあります。まずはサイトなどで相談に乗ってくれそうかを判断してみることをお勧めします。
または付き合いのある印刷会社に相談してみるのも手です。印刷会社は各パッケージ会社と付き合いがあることが多くあります。というのもパッケージには説明書やシールなどの付属物が多く発生するため、それを一括してパッケージ会社が受注して印刷会社に外注する。またはその逆。ということが頻繁に行われているからです。

パッケージにはデザインと図面の両方が必要

パッケージ制作では、最初にイメージを作り、デザインに起こし、使用目的に応じた強度を確保し生産性も考えた図面を作る。この3ステップが必要です。自分はどこまでやれて、どこから専門家に依頼したいのか。そんな視点を持っておくと、交渉がスムーズに進みます。

紙と印刷とパッケージこの段ボールは厚さ5mmのA段ボールでした

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