トップ 印刷と加工が織りなす独創的なカレンダーの制作秘話

印刷と加工が織りなす独創的なカレンダーの制作秘話

公開日 2023.04.14   更新日 2023.05.17

独創的なオリジナルカレンダーの依頼

サンコーは、これまで多種多様な印刷・加工を手がけてきましたが、今回はその中でも特にユニークな事例をご紹介します。ご依頼主は、多方面で活躍されているBULLET Inc.のアートディレクター、グラフィックデザイナーの小玉文さん。表裏で質感が異なる紙「紀州ラップ」を使用したオリジナルカレンダーを制作したいというご依頼でした。
裏面に印刷した絵柄が表面にも薄っすらと透けて見えるデザインで、さらにカレンダー本体に大小さまざまな穴をあけるという独特な仕様です。

絵と穴の組み合わせによる斬新なデザイン

一度聞いたら頭から離れない、その名も「あの穴カレンダー」。
絵と穴の組み合わせによって完成するデザインで、毎月のカレンダーをめくる度に1月は五円玉の穴が1個、2月はカセットテープの穴が2個…といった具合に「どこかで見覚えのある“あの穴”が見えてくる」という、なんとも斬新なアイデアでした。

3月ボウリング百聞は一見に如かず!まずはこちらをご覧ください。3月のカレンダーは、顔のようにも見えるのですが、実は「ボーリング球(穴3個)」なんです。

10月電話次はこちら、10月のカレンダー。世代によってはパッと見てわからないかもしれませんが、昔ながらの「ダイヤル式電話(穴10個)」です。
このように、カレンダーをめくる度に、さまざまな絵と穴が見る人を楽しませてくれるデザインになっています。

各分野のプロフェッショナルと協力して挑戦

この独創的なカレンダーは、サンコーだけでは実現できませんでした。そこで、ご依頼をいただいてすぐにお声掛けしたのが、抜き加工の東北紙業社さんと製本の小林断裁さん。これまでも数々の加工や製本でお世話になっている、とても心強いパートナーです。印刷のサンコーとあわせて、今回は3社でタッグを組んで挑みました。

「抜いた紙を回収する」アイデアとは?

通常であれば、穴をあけた際に発生する紙は廃棄されますが、今回のカレンダー制作ではその小さな紙も作品の付属品として回収したいというオーダーでした。

あの穴たち大小さまざまな丸い紙を、紛失しないように回収する。
この難題に対して、東北紙業さんに相談したところ、「シール加工を活用して、抜いた後の紙が散らからないように穴をあける」という、こちらもまた斬新なアイデアをご提案いただきました。

その加工を支えてくれるのは、シール加工のタカクラ印刷さん。そして、どんなに手間や工数が増えたとしても、アイデアの実現に向けて伴走してくれる小林断裁さん。信頼できる仲間たちに支えられ、試行錯誤しながらも着々と工程を進めていくことができました。

絶妙な透け感を求めて入念な立会い印刷

そして、今回の大きな難題のひとつである、「裏面に印刷した絵柄が表面に薄っすらと透けて見える」印刷にも挑戦。もちろん、ここは私たちサンコーの腕の見せ所です。

この絶妙な透け加減が重要なので、BULLET Inc.のデザイナーさんにも工場まで足を運んでいただき、微妙に色の濃度を変えたり、日光に当てたりしながら、仕上がりを随時チェック。お仕事の都合で立会いができなかった小玉さんには、リモートで印刷工程や仕上がりをご確認いただきながら進めました。

最後に「あの穴」を回収して、ついに完成!

そして、もう一つ忘れてはいけない重要なポイント。完成前の最終工程として、「あの穴」を抜いた後の紙を回収されたのは、ご依頼主である小玉さんご自身でした。シール加工を活用したことで、抜いた後の紙はバラバラに散らかることなく、型の中に収まったままの状態。大小さまざまな丸い紙は、BULLET Inc.のみなさんの手で一つひとつ紙から外されて、最後は袋に封入されます。

あの穴袋入り

デザイン作業ではありませんが、こういったところにもクリエイティブに対する熱量がひしひしと感じられますね。あらゆる難題をクリアして、ついに「あの穴カレンダー」が完成しました。

展示photo: Mariko Yamashita / ALBUS

ベストを尽くして、おもいをカタチにする

デザイナーやクリエイティブ業界のみなさん。「アイデアは浮かんでも、実現する方法がわからない…」というお悩みを抱えることはありませんか?そんな時は、せっかくのアイデアを諦めず、ぜひ私たちに一度ご相談ください。印刷面でサポートすることはもちろんですが、私たちには今回のような強力な仲間たちがいます。最適なチーム編成、柔軟な発想と創意工夫で、サンコーがあなたのアイデアの実現を全力でお手伝いします。

 

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