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2023.10.06日本は世界有数の森林国で、その森林面積は日本国土全体の約3分の2を占めています。樹木は光合成によって二酸化炭素を吸収しながら成長するため、地球温暖化の防止に貢献してくれている側面もありますが、森林面積が広がりすぎたことによる弊害も年々増えています。
今回は、日本が抱えるそれらの森林の問題解決に一役買っている2つのエコ用紙をご紹介します。
森林とともに成長する竹は、かつては日本人の生活に欠かせないものでした。割る・曲げる・編むなどの加工がしやすいため、衣食住を問わず暮らしに身近な素材として活用されていましたが、プラスチック製品に代替されたことで近年は消費量が激減。そのため、長年にわたって放置された竹林が、雑木林を侵食して生態系に悪影響を及ぼすようになりました。
雑木林を守るためには、増えすぎた竹を定期的に伐採して管理することが不可欠です。そこで、伐採後の竹をただ破棄するのではなく、どうにか活用できないかと開発されたのが「竹紙」です。
竹紙の魅力は、竹の繊維から生まれる独特のしなやかさ、そして和紙のような心地良い手触りにあります。環境に配慮されたエコな紙でありながらも、普通の紙とは違う味わいを楽しむことができるため、今とても注目を集めています。また、空に向かって真っすぐに伸びていく竹は、縁起物としても親しまれています。実際に、ここ数年はサンコーでも竹紙の取り扱いが少しずつ増えてきました。
<「竹紙」の制作事例についてはコチラもぜひご覧ください>
竹紙を重ねて合紙に!?環境に配慮したエコ名刺
印刷会社がSDGsな視点で企画した動物園カレンダー
育ちすぎた背の高い木々が山全体を覆ってしまうと、日光が地面まで十分に届かず、実が成るような低い木が育ちません。木の実が採れなくなった影響から、野生の鳥や動物たちが山から降りて田畑を荒らすなどの被害にもつながっています。予防策として定期的な間伐が行われてはいるのですが、今度は間伐材(間伐後の木材)が大量に余ってしまって放置されるという新たな問題が発生。放置された間伐材は、土砂災害の被害を大きくする要因にもなりかねません。そういった難題を解決するために、間伐材を有効活用して生まれたのが「エコ間伐紙」です。
エコ間伐紙は、表面加工がされていない非塗工紙で、木の質感が少し残ったナチュラルな風合いが魅力。印刷の仕上がりは、落ち着いた色合いになります。健全な森林の育成と環境面に配慮されたエコ用紙として年々需要が高まっているのですが、非塗工紙はイメージ通りの色を出すのが少し難しいタイプの紙でもあります。こういった印刷の課題が出てきた時、サンコーではお客様のイメージに沿った色合いを実現するためにしっかりとテストを行っています。
<「非塗工紙」の印刷に関連する記事もぜひご覧ください>
非塗工紙印刷の悩み解消
間違えやすい微塗工紙の正体
今回ご紹介した2つのエコ用紙の共通点。それは、新たに森林を伐採することなく、森林を守るための間伐という工程から出てきたものだけを使っているという点です。手入れが追いつかず荒れてしまった森林の木を適切に活用し、紙の製造と森林の保護を両立させたことで、森林の循環が生まれました。
私たちのように紙を取り扱う印刷会社にとって、持続可能な森林資源の活用は非常に重要な課題だと捉えています。過去には、森林に関わる事業関係者の皆様とワークショップを開催しました。森林保護の重要性や印刷物の価値を伝える活動は、これからも積極的に続けていきたいと思います。
<森林資源の活用と未来を考えるワークショップ>
多くの人のおもいを、ビジョンとして可視化する
企業や個人も含めた社会全体がSDGsへの取り組みをより推進していくこれからの時代。健全な森林を育成するプロセスから生まれた「竹紙」や「エコ間伐紙」は、環境保全や森林の問題解決という観点からも、ますます需要が高まっていくと考えられます。少しでもご興味を持たれた方は、ぜひ一度ご相談ください。
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
毎週火曜日の夜8時から。紙のこと、デザインのこと、印刷のことについて、 ゆるゆると語る30分。
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(お気軽にお問い合わせください|平日 10:00~18:00)