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2023.10.06カテゴリ :
印刷用語で使用される、トラッピングには印刷前・印刷時の2種類あります。この両方を順番にご説明します。
印刷物原稿の企画や構成・デザイン・編集・DTP・校正構成・刷版といったDTP(印刷を行う前工程)でのトラッピングは、版ズレを防ぐために異なる色版の境界をデータ上で微調整する作業のことを指します。
データ上で隣合う色をわずかに重ね、版ズレ・用紙の収縮による色の隙間ができるのを防ぐことをトラッピング処理と言います。
トラッピングは太すぎると重なりが不自然に見えたり、細すぎると白が出ることを回避できません。トラッピング処理はDTP及び印刷機で微調整を重ねていく重要な作業です。
トラッピングが出来ておらずわずかな隙間(白地)が見えてしまっています。
この場合、トラッピングの位置と量を決め、仕上がりを考慮して必要最低限のトラッピングを施すことにより解消できます。
印刷時のトラッピングとは、オフセット印刷において先刷りインキの上に後刷りインキが重なっていく状態のことを指します。
通常の印刷では、色の転移ができるだけ少なくなるように色面積が少ないカラーから印刷していきます。
フルカラー印刷をする時にはK(ブラック)→C(シアン)→M(マゼンダ)→Y(イエロー)の順で印刷されていきますので、トラッピングが良好ならば色同士の移りがなくなり鮮明できれいな仕上がりとなります。
トラッピング不良を起こした画像(右)は、2色目のインキがうまく乗らず下地の色が混ざってしまい、デザインデータの色が表現できていません。
インキの粘り気を印刷順序にしたがって下げたり、印圧を印刷順に下げるなど工夫することによりトラッピング不良を解消することができます。
「印刷時のトラッピング」は、印刷時のインク調整なので印刷会社の裁量に委ねられますが、「印刷前工程のトラッピング」はデザインデータを調整する必要があります。
「印刷前工程のトラッピング」は、試し刷りの段階でDTPオペレーターと印刷担当者が密に連携を取りデータ上で細かな調整を必要としますが、デザインデータをトラッピングせずに印刷してしまう業者も少なくありません。
トラッピングによる印刷不良を防ぎ適切な印刷会社に依頼するには、デザインデータを調整してくれたり、修正について指示をしてくれるかどうか?を事前に確認するようにしましょう。
サンコーの「トラッピング処理の裏側」について書いた記事はこちら>
印刷前工程でのトラッピングと同じように隙間を無くす手法であるオーバープリントに関する記事をまとめました
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