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色校正を重ねた特色印刷の名刺と封筒・看板の印刷

公開日 2024.02.19   更新日 2024.02.28

三上悠里デザイン事務所様から名刺の印刷のご依頼を頂きました。クライアントはアーキペラゴアーキテクツスタジオ様は、心が澄み渡るような深みのある落ち着いた緑色のコーポレートカラーが印象的な設計会社です。

抜け感のある名刺

「抜け感のある名刺」にするために、当初は透明なフィルムに印刷することを検討されていました。しかし、透明なフィルムを印刷するにはオフセット印刷では難しく、レーザープリンターやUVインクジェット印刷機、シルクスクリーン印刷ではコストや印刷の品質などで課題が残ります。素材をアクリルに変えれば、UVインクジェット印刷機で印刷が可能で、サンコーでテスト印刷をしても一定の品質を確認できましたが、50枚分を重ねただけでも両手で持つほどの厚みになってしまい実用的ではありません。これらの検討の結果、抜け感を出すために透明な素材を使うという方法を諦め、紙でどのように抜け感を表現するかを考えることにしました。

印刷の上から空押しで抜け感の表現をする

物理的には透けていない紙で抜け感を出すために三上さんが考えたアイディアは、ロゴ面にはコーポレートカラーの緑を前面にあしらい、反対面では緑の文字部分だけを凹ませることで、ロゴ面の緑と連続性を持たせることでした。用紙の種類はルミネッセンスマキシマム ホワイト、特色の色はDIC-N883です。このデザインをカタチにするには、通常は箔押しを使います。箔押しであれば、強めに加工することで文字の印刷と凹みを一気に表現できます。しかし、箔押しは既成のフィルムから選択するため、コーポレートカラーの色味が出せません。技術的には位置合わせ難易度が大変高くなりますが、特色印刷を行い、その上にピッタリの一で空押しをすることで凹みを表現する方法をご提案し、その方針で行くことになりました。

入念な色校正で色味の決定

指定頂いたDIC-N883はとても転びやすい繊細な色です。1回目の色校正ではカラーチップに合わせたつもりですが、ドライダウンによって希望する仕上がりになりませんでした。2回目の色校正では三上さんに立会っていただき、濃度の違う見本を3種類作り、翌日の乾燥した状態での色味で判断いただきました。

特色印刷の上から精密な空押し

特色印刷したロゴに空押しを行うのは有限会社コスモテック様です。印刷された文字の位置とピッタリ合わせて空押しをするためには、サンコーからお渡しする段階でしっかりと精度が出ている必要があります。コスモテック様と打合せを重ね、断裁順序にも気を付けながら作業を行いました。

戻ってきた時にはとトンボにも空押しがされていました。

名刺の仕上がりを封筒・看板にも

試し刷りや色校正を経て完成した名刺の色味に、アーキペラゴアーキテクツスタジオ様もご満足頂けたとのこと。他のデザインでも活かしたいと、2mmのアクリル板を使った看板への印刷、封筒の印刷も追加で依頼頂きました。アクリル板への印刷はUVインクジェット印刷印刷機を使います。UVインクジェット印刷機はCMYK+白の5色しか使えないため特色の色味を極力再現するべくデータを作り込みました。

封筒は平判の紙に印刷してから製袋する方法が一般的ですが、ロットが大きくないとコストが高くなってしまいます。今回はロットを考え、既製品の封筒に特色で刷り込みを入れました。
サンコーではインキディスペンサーを保有しているため、特色インキの調合を数値で管理ができるため、色校正で一度決めた色はブレずにリピート印刷することが出来ます。その特性を活かしつつ、三上様が求められている抜け感を表現するために技術の側からデザインに向かいました。サンコーはこれからもデザイナーさんの表現に全力で向き合います。

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