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心に秘めた強い思いを伝わるようにする。農業に取組む企業のブランドづくり(後半)

公開日 2020.12.04   更新日 2021.01.27

強い思いを込めて製品づくりをされている方は多くいらっしゃいますが、その思いを明確にして、お客様に伝わるよう表現できているケースは多くありません。サンコーでは「選ばれる理由を明確にし、それが伝わるようにすること」をブランドづくり(ブランディング)と定義し、co-labのクリエイターさん達と組んでお客様の想いをカタチにしています。糸魚川農業興舎様からブランディングのご相談を頂いたのは、コロナによる緊急事態宣言が出された4月上旬。オンラインだけでブランドコンセプトを作りあげ、後半はリーフレットなどの制作物に取り掛かります。
心に秘めた強い思いを伝わるようにする。農業に取組む企業のブランドづくり(前半)はこちらから。

農作業を体験しに糸魚川へ(6/29)

ブランドコンセプト作成が大詰めの頃に汐路ぶどう園を訪問し、オンラインで何度もお会いした青木さんにやっとお会いできました。糸魚川を訪問した理由は、農作業を体験するためでした。オンラインで伺う青木さんのお話しは、東京に住む私にとっては想像できないものでした。
「ぶどうが収穫され、お客さまのもとに届くまでには、気の遠くなるような作業がつづきます。種なしにするためのジベ処理、房の数を適正にし栄養が届くようにする摘房、ひと房につく実の数を適正にして実の割れを防ぐ摘粒。これらの作業は、1つずつ手作業で行われています。」「集落で農業を辞める人が増えると、共同で管理していた農道や水路の整備ができなくなり、他の農家も農業を継続するのが難しくなってしまう。その結果、集落全体が農業をやめてしまうと、水田が水を蓄えなくなり災害の原因にもなる。」
このようなお話をうかがい、現場での苦労を知らずにブランディングはできない。ほんの一部だけでもとにかく体験しなければ。そんな思いで、農作業を体験しに押しかけました。

摘粒作業1房30粒にそろえる摘粒作業。ずっと上を向いているのは結構つらい。 草刈り機一度乗ってみたかった草刈り機。筋が良いと褒めて頂きました。

何から作るかの整理(7/9)

ブランドコンセプトが固まり、そのメッセージを伝えるための制作物(印刷物)の企画です。いま作られている制作物の棚卸からスタートです。それぞれがどんな内容で、どのようなシーンで使われているのかを整理したところ、農業興舎さんで作られている作物とジュースなどの製品を、網羅的に紹介する冊子がない事が判明。主要製品が網羅されたリーフレット作り発送時に同梱することで「この美味しいトマトを使ったトマトジュースがあるなら、飲んでみようかしら。」そう思ってもらい、買い上げ頻度を増やす方針を決めました。さらに、キャッチコピーと合致しづらい手書きのロゴも見直すことに。
デザインをお願いしたのは、co-lab墨田亀沢のメンバーさんで、かようびデザイン室の青木佳代さん。「あしたあなたを口福に」という言葉から受ける、田舎の素朴な温かさを表現できる方であること。食べるのが大好きなこと。そして、苗字がお客様と同じ青木さんであること(笑)などからチームに加わって頂きました。

ロゴとリーフレットデザインを提案(7/22)

かようびデザイン室さんから出てきたのは、新鮮な作物が明日自宅に届くという農業興舎さんの価値を、作物が詰まった段ボールで表現するというデザイン案。素敵すぎます。
ロゴは、おいしさで満面の笑顔の中に、糸魚川の山と海を描いたデザインが出来上がりました。
これらをご提案したところ、「どうもイメージしていたのと違う。」「可愛すぎる」という違和感が。ここから、長い苦悩の道のりが始まります。

ロゴの決定について打合せ(8/31)

ご提案から1か月たってもなかなかロゴについての方針が決まりません。しかも、農業興舎さん社内でA案を推す人とB案を押す人とに分かれだして…。「このままでは何パターン出して結局決まらないかも」そんな焦りが出始めてきました。
そこで、『デザインを決める決め方を決めること』をご提案しました。選択肢は2つ。
(1)決める人を決めること。
合議制でデザインを決めると、社長はイタリアンが食べたいと言っていて、部長は和食がいいと言っている。だからパスタと焼き魚の組み合わせにして。といったことが起きがちです。食べ物に例えるとあり得ないことが、デザインでは頻繁に起きます。それだったら、社長が決める。って決めてしまった方がハッピーです。
(2)選択基準を明確にする
デザインを通じて、「誰に」「どう思ってもらいたいか」を明確にして、それを満たす案はどれかを考えること。デザインは見たひとに「かわいい」とか「楽しそう」といった特定の印象を与えるために存在します。しかし、デザインの選択をする際に、どうしても自分の好みで選んでしまいがちですが、改めて顧客の目線に立った時に答えが見えてくることがあります。
打ち合わせの結果、2つ目の選択肢「選択基準を明確にする」方針で進めることに。糸魚川に住む親せきが送ってくれた新鮮なトマトを食べた都心に住む人が、ロゴやパンフレットを見て、「糸魚川にこんな人たちがいるなら、商品を買うことで応援したいな。」って思ってもらいたい。そんな選択基準が決まりました。
その基準が決まった瞬間、1か月以上悩んでいたのがウソのようにスッと1つの案に決まりました。しかも、一番最初にご提案したものにかなり近いものに。これがデザインの力なのだと思います。ロゴを決めるという作業を通じて、自社はどんなお客様に、どう思ってもらいたいのかという、ビジネスの方向性が明らかになる。市場分析などのマーケティング分析とは違う、おもいを主体とした方向性の定め方。これこそがデザインの力なんだと再認識しました。


あぐりいといがわロゴ

収穫祭に参加(10/9)

このプロジェクトに関わったメンバーと、その友人・家族で農業興舎さんの収穫祭に参加させて頂きました。ハウスでのきゅうりの収穫と、コンバインを使った稲刈りにみんないい笑顔。
そして、この集合写真、ソトコトっぽくていい。撮影した自分を褒めてあげたい。

収穫祭集合写真いい写真(自画自賛) 収穫祭の写真これもいい写真。モデルが最高。

立ち合い印刷(10/15)

商品説明の文章のやり取りなどを経て、10月初旬に校了。青木仁さんが東京にお越しになるタイミングで、印刷の立ち合いを行っていただきました。
データ通りに印刷したら、ちょっと青が強め。農業興舎さんトマトは本当に真っ赤なのに、普通のトマトに見えてしまいます。並んでいるお米も少し青みがかってみえるため、シアンを少し下げて、段ボールの色味を出すためにイエローを追加して印刷。
納得いく仕上がりに、みんな笑顔です。

立ち合い印刷1人だけ笑っていない・・・

出来上がり

段ボールに入った小包が届きます。

リーフレット表紙

開いてみたら、美味しそうな食べ物がぎっしり。メッセージカードには、「明日、あなたを口福に」のコピーが。

リーフレット見開き

ブランディングとは当たり前に気づくこと

明日、あなたを口福に パネル

出来上がったコピーが農業興舎さんの事務所に額に入れて掲示してありました。私たちにとって最高の喜びです。
ブランドコンセプトは、お客様の期待することと、自社だけが提供できることの合わさったところから生まれます。だから、作り上げていく過程で、自社を見つめなおし、ときには当たり前だと思っていたところから思わぬ価値を見出していくことになります。そうして出来上がったブランドコンセプトは、自社にしか語れないもの。さらには時代に合わせて会社を変化させるときに、変化させない会社の軸となるもの。私たちはそう信じています。だから、出来上がったコピーやコンセプトを社内に掲示してもらえることは、その思いが通じ合えた証のように思えます。
企業の軸となるコンセプトを一緒に作り上げていけたら、私たちにとってこんなにうれしいことはありません。

 


糸魚川農業興舎さまブランディング
クライアント:株式会社糸魚川農業興舎
ブランドコンセプト:岡島梓・関美穂子(ビジュアルインタビューユニットサンカク
キャッチコピー&テキスト:岡島梓
デザイン&イラスト:青木佳代(かようびデザイン室)
ディレクション:有薗悦克(株式会社サンコー)

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