デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06先週末に100キロマラソンを完走した西谷さんと、紙とインクをイメージした香水(DIPTYQUE L’EAU PAPIER)の香りについてコメントしようとして、言葉に詰まってしまった有薗。気を取り直して、「そうだ、書店いこう」というテーマで語り合いました。
バレンタインパッケージはファンシーペーパーが多数使用されているため、西谷さんは毎年複数のデパートの催事場へ足を運んでいます。ラジオでも泰清紙器製作所の佐々木さんをお迎えして、毎年のバレンタイパッケージを取り上げています。
2021年の放送はこちら ツイキャスアーカイブページに移動します
でも、どんなバレンタインパッケージよりも、更に多くのファンシーペーパーが使われている現場が書店だと西谷さんはいいます。そして、いつでも行けて、量が無限にあり、2-3カ月で新しい情報に更新され、触れて確かめられると良いこと尽くめです。
書店は情報の宝庫だと興奮する西谷さんに対して、印刷会社の目線ではむしろ事故が目に入ってしまうと有薗はいいます。例えば、表紙の色。本の表紙は特色を使っているものが多くあります。同じ本なのに刷り色が微妙に異なっていると気になってしまします。また、本を買うために内容を立ち読みしたら、誤植を見つけてしまったり。
これは職業病かもしれません。
西谷さんはこの2つを本屋に見に行くと言います。
1)本の中の紙を見に行く
2)装丁家さんを見に行く(誰が装丁しているのか)
ファンシーペーパーの守備範囲として、並製本なら、表紙180㎏、カバー135㎏、見返し100㎏、扉100㎏、帯100㎏。上製本なら表紙(包み)100㎏あたりが良く使われます。文庫本はコート紙が多いですが、まれにキャンペーンなどでカバーを135㎏あたりのファンシーペーパーで統一することもあるそうです。コミックスは、サイズの大きなもので紙や印刷加工に凝ったものがありますが、ビニールがかけられていて見れない!残念!
奥付けや、目次、カバーの表3部分などに掲載されていることが多いため、書店にいったら、どんな装丁家さんがどんな紙を使用しているのかをチェックするそう。この作業を定期的に行うと、よく使われている紙の傾向がわかり、商品開発に活かしているそうです。西谷さん、ちゃんと仕事してます(笑)
また、名前を良く見かけるようになった装丁家さんにフォローを手厚くしたり、新しく見る装丁家さんには新規で接触したりと営業活動の参考にもなっているようです。
定期的に書店をチェックすることで、紙や装丁家の情報以外にも「カバーの紙の厚さが薄くなった?」とか「文芸書の並製本の割合が増えた?」「並製本の見返しがなくなり、扉も本文と共紙になってきた?」など書籍のトレンドが見えるようになるそうです。また、ある出版社のビジネス書は、ファンシーペーパーを積極的に使用していて、さらにカバーに箔押しや厚盛シルクなどの凝った加工も多いそうです。そして、WPHOエンボス、パターンズFダイヤなどは、ビジネス書ではよく使われる紙ですが、文芸書ではあまり見ません。里紙は歴史小説の見返しに使われることが非常に多く、実用書はファンシーペーパーの使用率が低いなどの傾向もみられるそうです。
装丁家さんとの会話のために、書籍タイトル、使用紙などを書店でメモすることがあるそうです。その際に西谷さんは、本を汚さないように丁寧に扱うのは当然として、怪しまれないようにこそこそせず堂々とメモをとるそうです。書店で堂々とメモを取っている人がいたら、それは西谷さんかもしれません。
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
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