デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06第3回は有薗に代わり、かようびデザイン室のかよこさんと西谷さんでラジオがスタート。今回は募集した紙についてのご相談を、西谷さんによる紙クイズと共にお届けしました。
「プラスチック素材が混ざっている」など、完全な紙ではないのではないかと噂されるトレーシングペーパーですが、そんなことはありません。生粋の「紙」。トレーシングペーパーに関わらず、紙の原料はパルプなどの”透ける”繊維でできています。ほとんどの紙が白いのは繊維同士を絡ませるために機械で紙の表面をケバ立たせたり、和紙は表面を叩いたりするためです。ケバ立たせることで繊維と繊維の隙間が空き、透過性は低くなっていきます。トレーシングペーパーは超高密度な紙なので隙間がありません。雪の一粒一粒は白いけれど、ぎゅっと握り固めると透明な氷になるのと同じ現象。トレーシングペーパー100枚をコピー用紙100枚の感覚で持とうとすると重く感じるほど。だから透けるのです。
四六判サイズ(1091×788mm)を1000枚重ねた場合の重さを示しています。
しかし不思議な点が一点、なぜ紙厚さを重さで示すのか。それには紙の密度が関係しています。繊維の密度が高い紙は硬くて締まっており、重くなります。密度が低い紙は繊維の隙間に空気が入るのでその分フカフカした軽い紙になります。そのため1000枚単位でどのくらいの重さであるかを表示し、紙の密度を確かめられるようになっているのです。電車の切符や名刺など、ケースに折れ曲がったりせずにしまう用途の場合は密度の高い紙を、その他丸めるなどができる柔らかい紙を使う場合は密度が低い紙をと、状況に応じて紙を使い分けましょう。
ベルギーです。EUの本部がブリュッセルにあり、政府の関連機関などがEUで決めた内容をベルギーで印刷、製本を行い各国に輸送しているため多いと言われています。ちなみに日本は6位です。
ラジオも紙も大好きなリスナー、かみはらりさんよりご相談。「趣味で写真集を綴じることがあり、家にA3以上の大きさの紙を何種類かストックしているけれど、スペースの問題で紙を丸めて収納してしまっているので癖や傷がついてしまう」とのこと。紙は形状記憶があって一回癖がつくと直りづらいという特性があり、厚紙でも立てかけて置いておくと重力によって波打って来てしまいます。西谷さんのおすすめはやはり「重りなどを乗せて平たく寝かして保管すること」とのこと。もし丸めてでしか保管が出来ない状態であれば、広げて使う時に軽く霧吹きで湿気を与えてから自然乾燥すると癖が少し和らぐかも。
印刷が好きで本をいつか作りたいというドグさんからのご相談。「本を作る時にオリジナルの紙を注文したいと考えているが、どのくらいの量からであれば紙を作ることが出来るのか」気になっているそうです。小さい機械では5t程度から可能とのこと。5tは5000kgなので、1000枚分が100kgの紙だとすると四六判で5万枚オリジナルの紙が作れます。小ロットで作りたい場合は和紙がおすすめ。手漉きであれば何枚からでも作れますし、機械で作る場合もより少ない量で作ることが出来るそう。ある和紙メーカーでは数百キロ程度からオリジナルの紙を作れるそうです。小ロットで検討している方は、和紙メーカーに相談してみることをお勧めします。
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
毎週火曜日の夜8時から。紙のこと、デザインのこと、印刷のことについて、 ゆるゆると語る30分。
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