デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06今年で3年目を迎える「隅田川森羅万象墨に夢」。墨田区内で多くのアートイベントが12月まで開催されています。
墨田区内のあちこちに貼ってあるポスターや配布されているリーフレットをサンコーで印刷しました。
「すみゆめ」は、すみだ北斎美術館の開館を機に2016年にスタートしたアートプロジェクトです。森羅万象を追い求めた葛飾北斎にならい、墨で描いた小さな夢をみんなの手で色づけしていくように、あらゆる表現を行っている人たちが集い、つながりながら、この地を賑やかに彩っていくことをめざしています。
(隅田川 森羅万象 墨に夢 HPより)
主催者である墨田文化振興財団の方からは「和のイメージを残しつつ、今まで以上にモダンな雰囲気を表現たい。さらに、視覚的に圧倒的な差別化を図りたい。」という要望がありました。このリクエストに対して、co-labのメンバーでもある、stemkyの島谷さんと出したアイデアは、「和の風合いを用紙で表現しながら、効果的に蛍光インキを使うことでシンプルで目立つビジュアルを実現する」というものでした。ただし、ここで問題があります。蛍光のインキは光沢のある用紙、例えばアート、コート系などに印刷すれば高い効果を発揮します。しかし、手触りの優しい和風の用紙を使うと、どうしても色が沈んでしまい蛍光インキの効果が薄れてしまいます。
そこで印刷職人の福沢と打合せです。紙を変える、厚く盛って印刷する、ベースに同系の色を引く・・・・・・・・・など。考えた末にたどり着いた結論は、「蛍光インキを2度刷りしたらいいんじゃないか」(やったことないけど)でした。
候補として上がった紙に、試し刷りをしました。考えたよりかなり効果が出ています。これで蛍光インキの発色が実現できるなら「視覚的に圧倒的な差別化を図りたい」というニーズが実現できると確信しました。(蛍光の発色が画像ではわかり難いですが)
前期と後期、2回に分けてパンフレットを作成しました。両方とも蛍光インキを二度刷りしています。
二度刷りは同じデータを別々の版で印刷します。そのため、版ずれが起きるととても目立ってしまいます。また、濃度が上がりすぎても裏付きをしてしまうし、低すぎたらそもそも蛍光インキを使った効果が出ません。その狭いスイートスポットを狙って注意深く作業を進めていきます。
濃度を高めたい。ベタをきれいに出したい。そのような考えで二度刷りをすることは珍しくありません。しかし、色が沈みやすい用紙に対して、蛍光インキの効果を上げるために二度刷りする。という発想は、営業の私にはありませんでした。紙とインキに向き合ってきた印刷職人が、デザイナーさんと意見を出し合ったからこそ出てきた、この二度刷りという答えは大成功でした。街でポスターを見かけた多くの方から、「この色凄いね~」といったコメントをたくさん頂けて嬉しい限りです。
すみゆめのキックオフイベント「すみゆめ踊行列」でリアルタイムに印刷する「Live Printing」を行いました。簡単に言うと、13時頃から区内8か所で開催されるフィールドワークの様子と、16時から隅田川テラスで開催されるオープニングパーティの最初の記念撮影を取り込んだ瓦版を作成し、300部印刷して19時のイベント終了までに届けるイベントです。Live Printingの詳しい模様はこちらをご覧ください。
今回ご紹介した蛍光インキを効果的に紙に表現する取り組みや、昨年の取組であるネットニュース並のスピードで手元に残る印刷など、サンコーは様々な形で紙の価値をいつも考えています。
デザイナーの皆さん、思いを、アイデアをサンコーに伝えてみませんか。どんな新しい紙の価値を見つけられるのか、私達も楽しみです。
l.N
私たちの印刷に対する思い
紙とインキに向き合ってきた、相談できる職人紹介
蛍光インキを使用したその他の事例「カラー印刷に蛍光インキのせてみた」
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
毎週火曜日の夜8時から。紙のこと、デザインのこと、印刷のことについて、 ゆるゆると語る30分。
03-5608-5741
(お気軽にお問い合わせください|平日 10:00~18:00)