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オフセット印刷のはり(針)とくわえ(咥え)

公開日 2024.07.05   更新日 2024.07.05

印刷に使用する紙の大きさは1枚ごとに微妙に異なります。なので紙のどこかひとつの角を起点として表と裏の印刷を合わせなければいけません。その起点を決めるためにあるのが「はり」と「くわえ」です。

「はり」「くわえ」とは?

オフセット印刷機では紙の長い辺を正面として紙が流れていきます。その長い辺を引っ張っていく掴みの部分を「くわえ(クワエ、咥え)」といいます。短い辺の起点に決めた一方を「はり(ハリ、針)」と言います。「はり(ハリ、針)」の語源は活版印刷の時代に紙の起点を決める時、針で刺していたそうです。ちなみに紙の進行方向右側のはりの事を突き針、左側を引き張りと言います。昔、印刷機に紙をセットする時に手で位置を合わせていたため向こう側に「突く」、手前に「引く」、という意味から言葉ができたと言われています。

はりとくわえについて話したラジオはこちら『わかっているようでわかっていない印刷のこと』

色分解① 色分解②

「はり当たり」とは、はりの位置を確認するためのもの

工場見学や印刷立ち会いの際にサンコーの印刷現場にいらした際にぜひ刷り上ったばかりの印刷の山を見てみてください。紙の短手のどちらかに線が入っていると思います。これは「はり当たり」といい、はりの位置をこちら側に決めて印刷した目印です。印刷や後加工の都合を考えて、突き針・引き針のどちらかに決め、版を印刷機にセットするときに「はり」側の側の版に傷をつけます。写真のようにCMYKのどれかのインキが傷部分に付き、目印の役割を果たします。断裁や後加工の時にその目印を基準にして作業をしています。
どっち側が「はり」になっているのか。そして何色ではり当たりがついているか。職人の個性が垣間見えるので、工場を見学するときの密かな楽しみにしてください。

色分解① 色分解②

断裁での「はり」「くわえ」

印刷物は両面とも揃えて印刷するために長手(紙の長い辺)と短手(紙の短い辺)の2辺を決め、その二つが交わる頂点を決めて印刷し製本や後加工を行います。印刷機の中で引き針をはりとして表面を印刷した場合は裏面は突き針にはりを合わせて印刷すると両面のトンボの位置が合います。断裁では「はり当たり」のある方にジョガーで紙を揃えてから断裁します。「はり当たり」が無い方は触ってみると分かりますが、紙の重なりがギザギザとしており揃っていません。そちらで揃えてしまうとはりで合わせたトンボがずれてしまいます。

オフセット印刷機の爪をメンテナンスしたブログはこちら

紙はサイズごとに切り揃えていても誤差があるので印刷が揃わないことがあります。その誤差を解消し、表裏の印刷位置をぴったりと合わせているのは「はり(ハリ、針)」と「くわえ(クワエ、咥え)」です。ぜひサンコーに訪れた時に確認してみてください。

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