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デジタル時代の年賀状:サンコーが切り拓く新しいコミュニケーションのカタチ

公開日 2024.01.16   更新日 2024.11.20

サンコーの2024年の年賀状は「同期は、オフセット印刷機になった。」から始まるSF小説でした。2024年に人間が変身してしまう奇病が流行し、同期の社員が印刷機に変身してしまった印刷会社を舞台にストーリーが展開します。冒頭部分のみ往復はがきサイズの年賀状に印刷され、QRコードを読み込みwebサイトで続きを読む仕組みになっています。

「同期は、オフセット印刷機になった」年賀状の裏側

今年の年賀状の送付数は1,413枚。大半は既にお取引のあるお客様ですが、SNS等で告知を行いサイトの応募フォームに住所や氏名を入力頂いた121名が含まれています。年賀状をお送りするためとは言え、住所や氏名を入力するというのは、手間もかかるしプライバシーに対する不安もあります。その負担を乗り越え「サンコーの年賀状を手に入れたい」と思って頂けたことは、これまで数年間苦しみながら年賀状を作り続けてきた成果なのかなと自画自賛しています。
お送りした年賀状のうち、1月11日時点で104名(7%)の方がQRコードを読んでサイトに遷移し、84名(6%)の方が最後まで読まれました。サイトの滞在時間は平均で1分36秒で、小説の内容をしっかりと読んで頂いていることがデータから読み取れます。最後まで読んだ方が年賀状を送った方の6%居ることを高いとみるかどうかですが、DMの反応率が1%程度という事を踏まえると、それなりに高い反応を得られたと言えると考えています。
それ以上に、これまでの印刷物は読まれたかどうかの効果検証が出来ませんでした。それがこのように数字で見れるようになったことは、紙での表現に新たな価値が加わったと言えます。

デジタルに紙という付加価値つける

サンコーでは紙の質感や印刷における色再現など、紙の価値を追求してきました。しかし、印刷物の環境に与える負荷や、原材料費の値上がりなどに起因するコストアップを考えると、そのような感性的価値だけでは紙に印刷する理由が見出しづらい時代になりつつあります。しかしデジタルに軸足を置き、メルマガや検索広告などと同じように紙もデータで検証可能なメディアになると、数多くのSNS投稿の中で広告記事を読んでもらうよりも、年賀状の束の中で「これなんだろう?」と思って目に止めてもらう方が効果が高いのではないか。さらには年々年賀状が減っていく中で、より差別化が容易になっているのではないだろうか。多くの方から「年賀状良かったよ」と言っていただけたことは、手が込んだ印刷物は受け手の印象に残る力がまだまだあり、紙メディアの減少によりその力は高まっている。だとするとデジタルでマーケティングすることは前提にしながら、デジタルメディアには無い付加価値を紙は提供できるのかもしれません。

目にとまり、熟読させるコンテンツの力

でも紙だったら何でもよい訳ではないでしょう。サンコーの年賀状について、ある方が「ラノベ的な雰囲気だけど萌え萌えしていないイラスト。星新一的なテーマを流行りの横書き小説の文体で、YOASOBIの歌詞を発信をしてきました。今回の年賀状もその発信の一環であり、世の中は紙に対してどんなおもいを持っていて、その中で誰に何を伝えたいのか、その結果どんなアクションを起こしてほしいのか。そのような哲学的な果てしない議論を経てデザインや小説の世界観が完成しています。完成に至る経緯は別のブログにまとめていますので、ぜひ読んでください。
消費者のデータを取るマーケティングは仕組みがあれば実現できます。しかし、お客様が読みたいコンテンツを作るためには、誰が顧客でどんな価値を提供するのかといった、そもそも自社のコンセプトが明確になっていなければ難しい。
ブランディングを土台として、ツールとしてのマーケティングを取り入れることが大切だと私たちは考えます。

「or」の時代から「&」の時代に

サンコーは印刷会社で、印刷機と職人がいるThe アナログの会社です。しかし、これからの時代に必要とされる紙の価値を創り出し伝えたいと考え、注力したのはwebマーケティングを中心としたデジタルでの活動でした。その結果これまでリアルでは接点の無かった方にデジタルでご縁が広がり、年賀状をご紹介しお送りすることができました。そのような自社の経験を踏まえて考えると、紙orデジタルで考えるのはナンセンスだし、ブランディングorマーケティングという考え方も違う。紙&デジタルだし、ブランディング&マーケティングなのだと感じています。
一方で、これらは「&」で繋がるけど並列ではないとも思います。デジタルと紙なら、デジタルがベースで紙が付加価値だし、ブランディングとマーケティングなら、選ばれる理由づくりであるブランディングがベースで、そのメッセージを上手く届けるためのマーケティングがある。
2024年は「or」ではなく「&」で考える一年になりそうです。

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