デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06この10年ほどを振り返って「減ったなー」「見なくなったなー」という紙、逆に「増えたなー」「以前ははなかったのに、最近見るようになったなー」という紙や紙製品について語りました。
まず最初に、平和紙業、サンコー、の10年前を振り返りました。
2012年10月に加工会社4社(東北紙業社、篠原紙工、小林断裁、コスモテック)と平和紙業の5社で、紙加工をデザイナーに直接紹介する展示であるカコウイチを開催。今でこそデザイナーさんに人気の加工会社4社の取組みは、この頃に始まったようです。震災以降、紙の需要が減少しはじめ、需要が戻らないように思ったことが背景にあったと言います。また、この頃から、駅貼り広告、車内吊り広告にヴァンヌーボが頻繁に使われていることを知り、西谷さんは広告代理店への営業を開始したそうです。
有薗が前職を退職して家業のサンコーに入社したのが2013年夏。そのタイミングでビルオーナーが倒産し、ビルが競売にかかってしまいました。第三者が落札すると引っ越ししなければいけないため、競売前に物件を購入したのが2014年3月。そこから空きフロアの活用を考えて、墨田区の支援を受けてクリエイター専用シェアオフィスco-lab墨田亀沢を開設したのが2015年3月。従って、10年前には紙について考える余裕すらなかったのが正直なところです。
しかしco-labをオープンしたことで、デザイナーさんとの付き合いが増え、またカコウイチに参加していたようなデザイナーさんと直接やり取りをする印刷会社、加工会社とも親しくなりました。
ヴァンヌーボ、ミセスBが大半だったところに、平和紙業がエアラスを投入し支持を集めましたが、コスト削減が原因か最近では銘柄が変わり、さらにデジタルサイネージに移行しつつあります。コロナで紙媒体そのものが激減しましたが、最近はビールを中心に少し需要が戻りつつあるそうです。
以前はヴァンヌーボ、ミスターB、ミセスBを使い、オフセット印刷で大量に刷られていたものが、掲出される駅が減り数量が減少減少し、UVインクジェット印刷機でエアラスに印刷するような変化がみられるそうです。印刷がインクジェットになったことで、複数デザインを3連、5連、10連で貼るような手法も出てきました。こちらでもデジタルサイネージへ切り替えが進んでいます。
見返しなし、扉は本文と共紙など、ジワジワと紙の選択肢の幅が狭まってきているようです。最近の紙や印刷費の値上げにより、より厳しい状況になりそうです…。
映画館でSNS映えを狙った大型のスタンドPOPは人気ですが、一方で書店、化粧品店などに置かれていた等身大POPはほぼ見かけなくなりました。
ラベル、袋、包装紙などで紙が使われるようになりました。その結果、耐水紙、耐油紙などの問い合わせが増えていると言います。ストローも紙製が増えましたよね。
以前ラジオでも取り上げましたが、企業から出る廃棄物の一部を紙の原料にした混抄紙の人気が高まっています。
高級ブランドのクリスマスのショーウィンドウのディスプイレなどで、これまでは樹脂や金属を使用していたものが、廃棄しやすい素材として紙を用いるようになっていると言います。金銀パール系の紙にレーザーで加工することで金属に負けない質感が出せるようになったことも技術的背景としてありそうです。
サンコーにもサイト経由で月に数件の問合せがあります。触った時に変化をするという機能は、デジタルには代替されない価値があるようです。
植毛紙のウーペシリーズは、不思議と時代の流れに関係なく、細々と売れ続けているそうです。卒業証書のケースや、高価格帯商品のパッケージや書籍に使用されることが多いため、市場の変化とは無縁なのかもしれません。
真っ白で印刷再現性の高いファンシーペーパーを用いたカタログ、パンフ、チラシなどは大幅に減少した一方で、新しい市場が増えていることは確かです。紙と印刷とラジオでは、紙や印刷加工の情報を幅広い方々に伝えていきたいと思います。
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
毎週火曜日の夜8時から。紙のこと、デザインのこと、印刷のことについて、 ゆるゆると語る30分。
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