デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06私たちサンコーが、おもいをカタチにするために大切にしていること。それは、お客様と一体となって「共につくる」という姿勢です。ご依頼いただいた仕事をただ完遂するだけでは、私たちが担当する意味がありません。単なる情報媒体としての印刷物ではなく、背景にあるストーリーまで感じてもらうためにはどうすればいいのか。今回ご紹介するエコカレンダーも、そんな想いから生まれました。
公益財団法人東京動物園協会は、恩賜上野動物園、多摩動物公園、葛西臨海水族園、井の頭自然文化園の管理運営を担っています。今回は公式インスタグラムに投稿された動物たちの写真を使って、環境に配慮したエコカレンダーをつくりたいというご依頼でした。最初のヒアリングから見えてきた方向性として、デザイン・印刷・製本という観点から、私たちがご提案した3つのポイントをご紹介します。 (※このカレンダーは非売品です)
職員と動物たちとの空気感を大事にしたいというご要望を受けて、あえてトリミングはせずに素材写真を最大限に活用。インスタグラムをモチーフにした正方形のデザインで、スワイプするようにめくっていく仕掛けにしました。サイズは正方形よりも少し縦長の縦210×横200を採用。このサイズにすることで、加工後に廃棄する紙を極力少なくすることができます。
デザイナー・青木さんの発案で、日本の竹を材料とした竹紙をご提案しました。竹紙は、伐採された行き場のない竹を製紙原料として活用することで、竹林整備や環境保全等、あらゆる面から今注目を集める資材です。また、竹はパンダの食事としても有名です。
実は、通常の製本で使用されるホチキスの針も、紙を再生する際の妨げにはならないようにできています。ただ、動物園・水族園カレンダーは小さなお子さんの手にも触れる機会が多いこともふまえて、今回は安全面まで考慮したペーパーホチキスを採用しました。ホチキス部分も再生紙の資源になるため、より環境にやさしい製本が可能になります。
動物たちとその生息環境についての知識を広めて、人と動物の共存に貢献したい。SDGs を支援する団体として、環境に配慮したものをつくりたい。動物園職員だからこそ撮影できる写真の臨場感を届けたい。東京動物園協会様のさまざまな想い、それがカタチとなって完成しました。
今回採用された「竹紙」のほか、近年エコペーパーの選択肢は増えています。国内の間伐材を使った「エコ間伐紙」、搾汁後に残ったサトウキビを再利用した「バガスペーパー」、途上国の貧困問題と環境問題の解決を目指して生まれた「バナナペーパー」、年間 130 トン以上が廃棄になっている布の繊維を使った「サーキュラーコットンペーパー」等。SDGs への取り組みとしても今後より一層需要が高まっていくエコペーパーの可能性について、私たちも積極的に発信していきます。
<過去の記事もぜひご覧ください>
印刷物のメッセージに寄り添うエコペーパーの選択
紙・印刷から SDGs を考える | 紙と印刷とラジオ 第 99 回
環境面だけを考えると、印刷物は決して環境に良いとはいえないかもしれません。ただ情報を伝えるだけなら、他の媒体があるのも事実です。でも、紙でなければならない価値、紙だからこそ広がる可能性も、きっとまだまだあるはずです。手元に届いた時のワクワク感、紙面から伝わる作り手の温度。サンコーはこれからも、お客様と共につくりだすという姿勢を大切にしながら、「地球にも人にもやさしい」ストーリーのあるものづくりを続けていきます。
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
毎週火曜日の夜8時から。紙のこと、デザインのこと、印刷のことについて、 ゆるゆると語る30分。
03-5608-5741
(お気軽にお問い合わせください|平日 10:00~18:00)