デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06文化庁「大学における文化芸術推進事業」の一環として、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科と、足立区、墨田区、台東区の3区が連携で行う「アトリエ・ムジタンツ」三年間の活動記録集の印刷・製本をご相談いただきました。行政の事業では必ず報告書が作成されますが、ワードで作られたお堅い資料が大半です。ですが、デザイナー・イラストレータのHaruka Shinji ILLUSTRATIONさんからのご相談は想像を超えた内容でした。「アートや芸術に関する活動であり、活動を広めていく広報誌としても使うので、楽しさや学び・驚きが伝わる冊子にしたい。だからページを開いたらいきなりキャラクターが飛び出すようなポップアップ加工を取り入れたい。」そんな相談を受け、報告書作成が個人的には大の苦手な私は、ノリノリでプロジェクトがスタートしました。
今回の冊子では、一見すると普通の報告書なのに、開くとイラストがサプライズで飛び出してくるという狙いから、紙質は柔らかめの嵩高塗工紙「b7トラネクスト」です。表紙を開く前からネタバレしないかどうか。飛び出す角度・位置・読者がページを開く角度の予測など、総合的に調整しなければなりません。まずは最終イメージを掴むため「モックアップ」をつくりました。そこで飛び出し角度や閉じた時にはみ出さないよう貼り位置を決めていきます。さらに実際に使う紙でより本番に近い見本「ホワイトダミー」をつくり、表紙から飛び出す加工から見えないかの確認と、角度の微調整等をおこないました。
飛び出す部分の裏側に全面うすいブルーを印刷しています。理由は、保管中や輸送中にインキが擦れて白紙に付く事を軽減するためです。これはマット紙で起こりやすい現象で、そのまま「インキ擦れ」と呼ばれています。対処法としてニス印刷が挙げられますが、紙の質感や風合が変わるので、今回は擦れる先と同色のうすいブルーで印刷を提案しました。
企画・デザイン:Haruka Shinji ILLUSTRATION
モックアップ作成・印刷:株式会社サンコー
ダミー製作・製本:篠原紙工
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
毎週火曜日の夜8時から。紙のこと、デザインのこと、印刷のことについて、 ゆるゆると語る30分。
03-5608-5741
(お気軽にお問い合わせください|平日 10:00~18:00)