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ベタ印刷より合紙

公開日 2021.12.22   更新日 2021.12.22
上は日本語表記のおもて面、下は英語表記のうら面。おもてのロゴマークはうら面の紙色に合わせて印刷しています。

 

今回ご相談頂いた内容は、「色にはそれぞれ意味があり、名刺を持つ方が自由に色を選べる名刺」です。日本語表記のおもて面は白ベースに7種類のテーマ色でロゴを印刷しクリア箔で強調。情報部分はスミで印刷。英語表記の裏面は、ロゴマークと同色の地色にスミで情報部分が印刷され、ロゴはスミ箔が使われています。

紙の色を効果的につかう

おもて面の地色が白、裏面がカラーの場合、裏面の地色はベタで印刷するのが一般的です。しかし、デザインを拝見し、紙の自然な風合いを活かして美しく仕上げるために、印刷ではなく紙の色を効果的に使うご提案をしました。違う紙を数枚貼り合わせて厚い紙を作る「合紙(ごうし)」と呼ばれる、パッケージやPOPに良く使われる方法です。合紙(ごうし)について詳しくは下記に詳しく書いてありましたので、よかったら参考にしてみてください
一般社団法人 日本印刷産業連合会様 印刷用語集「合紙」

合紙をご提案した理由

片面が白、もう片面の全面に濃い色が印刷された紙を断裁すると、その圧力で四方にうっすらと色が付いてしまう場合があります。それを解消するには、PPやニスなどで保護することが必要ですが、そうするとせっかくの紙の質感が失われてしまいます。でも、印刷ではなく色がついている紙を使えば、このトラブルは起きないため、表面加工も不要です。

断裁圧力による裏付き

使用紙はNTラシャ

NTラシャは『羅紗(らしゃ:厚手の起毛毛織物)を思わせる緻密で温かい肌触り』を持ち、100種類以上の色がある竹尾のファインペーパーです。その中から、おもて面は無垢、うら面は、朱/オレンジ/もえぎ/緑/ぼたん/群青/青緑/を使用しました。

黒の印刷がポイント

制作の最終段階で難関が待ち構えていました。うら面のデザインは、スミアミで表現された薄めのロゴマークとスミベタ表現された文字情報の組み合わせとなっていますが、この濃度設定に大いなる矛盾をはらんでいるのです。

スミアミの表現

色が異なる用紙に、同じ濃度でロゴを印刷すると紙色によってグレーの見え方が変わってしまいます。濃い色の紙だと見えにくく、薄い色の紙だと濃く色が出すぎてしまいます。そこで、ナリカタデザイン相談室さまと打ち合わせ、5パーセント刻みで濃度を変えた印刷テストを行い、各紙に最適なアミのパーセントを決定しました。

スミアミとスミベタの濃度

このようにし5%刻みの精度でロゴ部分のスミアミの濃度が決まりました。そうすると、印刷段階で濃くしたり薄くしたりという調整を極力せずにフラットに印刷する必要があります。一方で、スミベタ文字は紙の地色に負けないように通常よりも濃く刷る必要があります。こちらはデータ上では100%であり、印刷段階でインキを盛ることで調整する必要があります。この問題を解決するために、文字部分に合わせてインキを盛ること前提で、ロゴのパーセントをほんの少し低めに調整する案や、文字部分だけ2度刷りする案もでましたが、どちらも確実ではありません。結果として、文字のスミと、ロゴのスミアミを分けて印刷することに決定しました。

ロゴ色比較同じパーセントでの比較。左の方が、右よりもハッキリと見えています。

合紙と断裁

印刷が終わると合紙をして、ロゴマーク部分への箔押しの工程が待っていますが、表面のロゴマークは印刷の上にクリア箔が乗る箇所。こころピッタリ合わせるためには、印刷・合紙・箔押しの精度が出ている必要があります。そのために、合紙のニューウェル合紙さんや箔押のコスモテックさんと事前に何度も打ち合わせ、面つけの方法や紙の向きや厚さなどを決めていました。それでも発生する紙の反りと戦い、完成となりました。

7色の色紙比較完成色比較。下のロゴマークは箔押しです。

 

名刺の白い面に色移りしていない。別の色の名刺と並べたときに、読みやすさがどれも同じ・・・。人と人とが出合う名刺交換という場で違和感なく使える名刺を実現するために、様々な技術を組み合わせたお仕事でした。

セブンゼンコーポレーションさま名刺
企画・デザイン:ナリカタデザイン相談室さま
印刷・断裁:株式会社サンコー
合紙:ニューウェル合紙さま
箔押し:コスモテックさま

違和感なく普通に見える印刷物の裏に、とんでもない技術が詰まった印刷物として、他にもこんな事例もあります。『特色6色、ベタ刷り、版ずれとの戦い

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