デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06カテゴリ :
トレーシングペーパーの特徴は他の紙に比べて密度がとても高いことです。上質紙157g/㎡の紙の厚さが21μなのに対して、トレーシングぺーパーは同じ斤量でも厚さは12μしかありません。こんな密度を別のことに例えるとすれば雪でしょう。真っ白い雪をぎゅっと固めると氷になって半透明になりますよね。これと同じ仕組みでトレーシングペーパーは透明になっているそうです(詳しくは紙と印刷とラジオのこちらの回をご確認ください)。また、湿度を吸収しやすく、水分を含むと大きく反ることも特徴の1つです。
トレーシングペーパーに霧吹きをかけて面白い形に反らせた例はこちら
半透明で独特の手触りから、トレーシングペーパーは招待状、名刺、アートワークなど、様々な用途で利用されています。トレーシングペーパーに印刷をし、その下の素材の色を透かして見せるなど、デザインの幅を広げてくれます。紙を半透明にする方法として、以前であれば蝋引きもできましたが、できる工場がほとんど無くなってしまった現在では、半透明の質感を出すにはトレーシングペーパー一択という状況です。
蝋引きについてのブログはこちら
しかし、トレーシングペーパーは印刷がとても難しい紙です。このブログでは、このデザインの幅を広げてくれるトレーシングペーパーの印刷についてご紹介します。
オフセット印刷においては大きく2つの課題があります。
印刷においては、紙が白くて透けない方が明るく仕上がります。半透明で白色度が低いトレーシングペーパーでは色が暗く仕上がりがちです。特にオフセット印刷ではインキが紙に沈むためにその傾向が強く出ます。そのため、特色を使用する場合は実際に求める色よりも明るい色を選択することが重要です。プロセスカラー(CMYK)で印刷する場合には、データ段階で明度と彩度を調整し、全体的に明るい仕上がりを目指す必要があります。
トレーシングペーパーは薄く、さらに湿度による紙の反りが生じやすい特徴があります。このため、どうしてもヤレ(印刷不良)が多くでてしまうため、通常より多めの予備枚数が必要になります。
オンデマンド印刷の場合、銘柄によって印刷できる・出来ないがより異なることがあります。まずは使いたいトレーシングペーパーが、その印刷会社の持っているオンデマンド印刷機に適しているかどうか、事前に確認することが大切です。印刷会社にとっても各銘柄ごとのデータを持っているとは限らないので、テスト印刷をしてみないと答えを出せないケースが多いでしょう。ファンシーペーパーは、ペーパーボイス東京などのショールームで1枚単位で購入できますので、その紙を持ち込んでテストしてもらうことをお勧めします。1枚だけなら上手く印刷できても数枚続くと印刷できなくなるといったトラブルもあるため、テスト印刷する枚数も印刷会社と良く相談してくださいね。
オフセット印刷機が紙を爪で掴んで搬送するのに対し、オンデマンド印刷機はベルトで紙を搬送します。このためオンデマンド印刷では紙のズレが起きやすくなります。ズレが目立ちやすいデザインは避けたほうが無難です。また、表裏印刷を行う場合には、ズレが生じても問題ないようなデザインを選ぶことが重要です。
トレーシングペーパーと蛍光インキを使った会社案内の制作事例はこちら
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
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