デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06年の瀬も押し迫った12月25日(金)に、サンコーと、インクデザイン、Soichiroの3社で、AIがもたらす未来の変化を考える勉強会を開催しました。印刷、デザイン、webと事業ドメインは異なるものの連携して仕事をしている3社が、なぜこのような勉強会を企画したのか。そしてやってみてどうだったのか。ブログにまとめてみました。
この勉強会を実施した経緯は、サンコーの有薗とインクデザインの社長である鈴木潤さんが「生成AIの驚異的な進化によってデザインの作業はAIが担うようになるのではないか。」「その結果、デザイナーの仕事は感覚的・主観的な視点から課題を解決し経営をサポートする役割に変化するのではないか。」「その変化はAIを否定的に捉えればピンチでしかないが、前向きにとらえればデザイナーの価値を飛躍的に高めるのではないか。」そんな議論をしたことがきっかけでした。
インクデザインさんはサンコーが運営するco-lab墨田亀沢にオフィスを構えているデザイン会社さん。同じ空間に経営者がたくさんいることで、刺激的な会話が生まれそこからビジネスが動き出すのがシェアオフィスの面白さです。でも、社長だけが考えていても会社は変わらないから、社員一人一人が考える機会となる勉強会にしよう。せっかくやるなら、同じようにAIの影響を大きく受けるだろうweb制作やwebマーケティングの仕事をしているSoichiroさんにも声を掛けようと話しがまとまりました。
Soichiroの扇塚社長も入って経営者3人で勉強会の在り方を議論し、AIがもたらす未来を予測するため、講義形式の研修ではなくワークショップ形式が最適だという意見で一致しました。一方、ワークショップは、実施した時は意見がたくさん出て満足感がありますが、その後の行動を変えることに繋がにくいという問題点も指摘されています。業務としてお客様のワークショップを主催することもある3社ですので、より成果に繋がるワークショップにするべくポイントをいくつか決めました。
3社の経営陣はワークショップのファシリテーション経験もあり、自分たちでワークショップを開催することもできました。でも参加する社員達からしたら、社長がいる前では発言に気を使ってしまい本音での議論になりづらいもの。心理的安全性を担保して本音での議論を実現するために、ファシリテーターは外部のプロにお任せしようと決め、アラワスの関美穂子さんにお願いすることにしました。
AIによって変化する仕事の未来について、言葉だけで明確にイメージするのはとても難しいもの。そのためワークショップで出てきた内容をその場でビジュアル化する、グラフィックレコーディングを取り入れることにしました。これによってワークショップ当日は同じイメージを共有できますし、後日ビジュアルを振り返ることで当日の議論の内容を思い出すことができます。グラレコには守隨佑果さんにお願いをしました。
自社や自社の属する業界に対してはどうしても平常心バイアスが働き、楽観的に予測してしまいがちです。今から15年くらい前に「日本人はCDを所有することが好きだから、これ以上パッケージ市場は縮小しない」という観方がCD業界内では大半でしたが、その楽観論は見事に外れました。そのため業界の未来を予測するワークでは、3社の社員をシャッフルして、より顧客の目線に近い人の意見が反映されるようにしました。
ワークショップがその場限りになってしまう一番の原因は、自分事できないことにあると思っています。だから「世の中はどう変わる」そして「会社はこう変わる」「だから自分はこうする」という明日からの自分にどう繋げるかを考えてもらうようにしました。
アイスブレイクを経て、最初のテーマは「現在、AIをどう使っているか︖それはいつからか︖」でした。AIと対話してアイディアをまとめている。イラストを作っている。ブログを作っている。などなど各社それぞれ使い始めていますが、人によってその活用度はまちまちのようです。
平常心バイアスを取り除き未来を予測するために、3社のメンバーをシャッフルしたグループで、印刷業界・デザイン業界・web業界の未来を予測します。AIが何をするようになっているか︖どういう⼈が活躍するようなっているか︖というテーマでディスカッションを行いました。
ここで問題が発生!各テーブルの空気が暗い。AIによって市場規模が縮小し、さらには自分たちの仕事が奪われていく。そんな意見ばかりが出てきます。平常心バイアスを取り除く意図が強く効きすぎたかもしれません。そんな現状を見かねたファシリテーターの関さんから「AIが発展することによってどんなチャンスが生まれ、どんな人が活躍することになるか。そんな視点で議論して~!」とのアドバイスで空気感が変わりました。
業界の未来を占ったあとは会社ごとに1つのテーブルを囲み、自社の未来について考えます。AIによって5年後に出来るようになっていること、それによって生まれるチャンスを中心に議論をし、発表をしました。
最後に今日1日のグラレコをふりかえり、参加者みんなでチェックアウトします。感想や気づきを1人ずつ話してもらうことで、業界や未来といった大きなテーマと自分とのつながりを意識してもらいます。「AIの進化を実感した。」「AIをもっと活用していこう。」「印刷やデザインといった手段ではなく、自社の理念に立ち返ってやるべきことを考えたい。」そのような意見がでてきました。
今回ファシリテーターをお願いした関さんの本業は守随さんと同じグラフィックレコーディング。サンコーが主催するワークショップでも活躍してもらっています。そんな本業の力を活かして、チェックアウトの1人1人の感想を聞きながら、今日の結論を1枚の絵にしてくれました。
これからは売り手も買い手もAIに問いかけて考えを整理したり、知識を得ることができる。それによってコミュニケーションのレベルがあがり、人と人との繋がりがより深くなったり、アウトプットのレベルが上がったりする。さらに一般的な答えはAIが出せるからこそ、誰が言ったのか?という個の力が重視されるようになる。みんなの意見を包含したこの絵が出来上がった時に、会場全体が深く納得しました。これこそグラレコの力!
AIの進化は誰にも止められません。でも、この変化を前向きに捉え会社を進化させていく。参加した3社のみなさんがその思いで1つになったことは、この集合写真の笑顔が示してくれています。そしてクリスマスの金曜日、勉強会後の懇親会は経営陣が気を遣って1時間で終わらせる予定だったのに、ずいぶん遅くまで盛り上がったことも勉強会の成果のひとつかもしれません。
そうそう、このブログもストーリーはChatGPTと対話しながら整理して誤字脱字チェックもやってもらいました。日常的に使うツールになりましたね。
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
毎週火曜日の夜8時から。紙のこと、デザインのこと、印刷のことについて、 ゆるゆると語る30分。
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