デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06地球温暖化や資源の枯渇といった環境問題への対策として、環境にやさしいエコロジーペーパーが近年ますます注目されています。こうした紙には、それぞれ「認証マーク」が付与されているのですが、その意味まではあまり知られていません。今回は、主要なエコロジーペーパーの種類とそれぞれの「マーク」についてご紹介します。
エコロジーペーパーに付与されているマークは、消費者に対して環境にやさしい製品であることを示しています。マークが付いていることで、消費者は環境に配慮された製品であることを認識し、製品選択の幅を広げることができるんですね。
また、企業にとっては、環境保全に貢献できるだけでなく、マークを通じてSDGsへの取り組みを広報することができるという利点もあります。
エコロジーペーパーは、環境に配慮して作られた紙の総称です。中でも、使用済みの紙製品をリサイクルして作られた再生紙は、その代表例として広く知られています。新たな木材を伐採することなく、資源の節約と廃棄物の削減につながる紙であることを示す「エコマーク」が付与されます。
<詳しくは公益財団法人 日本環境協会エコマーク事務局のHPをご覧ください>
https://www.ecomark.jp/
非木材紙とは、針葉樹や広葉樹以外の植物繊維(例:バガス・バナナの皮など)を原料にした紙です。木材紙よりも製造時のエネルギーや水の使用量が少なく、独特の風合いと手触りが特徴で、日本では身近な和紙も代表的な非木材紙の一つです。非木材パルプを使用し、安定的な供給と品質面で基準を満たした製品に「非木材グリーンマーク」が付与されます。
<詳しくはNPO法人非木材グリーン協会の公式HPをご覧ください>
https://www.himokuzai.org/
FSC森林認証紙は、適切で持続可能な森林管理が行われていると認証された森林の木材を原料とした紙で、エコロジーペーパーの一種として国際的に広く認知されています。FSC(Forest Stewardship Council)は、環境や社会、経済面で持続可能な森林管理を推進する国際的な非営利団体です。「FSCマーク」はFSCから直接発行されるのではなく、独立した認証機関による審査があるため、信頼性が高いとされています。
ご紹介した中でも、特にFSCマークが付与された製品は、認証機関の審査によって環境への配慮が認められているため、一般的には「他の紙よりも品質が優れている」というイメージがあるかもしれません。ただし、FSCマークはあくまで環境面での取り組みを示すものであり、製品の品質そのものを保証するものではありません。そのため、FSCマークの有無と品質には、実は関連性はないんです。
FSCが掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の活動指標の一つに、「自主的な森林認証を取得している森林の面積増加」があります。環境保全活動において、森林面積の増加に貢献することは、もちろん大変意義のあることです。
<詳しくはFSCの公式HPをご覧ください>
https://jp.fsc.org/jp-ja/FSC_contributing_to_SDGs
その一方で、一部地域では過剰に成長した木々が山全体を覆ってしまい、日光が地面に届かずに他の植物を枯らしてしまう現象が社会問題になっています。そのため、生態系のバランスを保つための予防策として「適切に木を切る」ことも、実はとても重要なんですね。
<間伐とエコの関係性については、ぜひこちらもご覧ください>
森林の問題解決に役立つ紙たち【竹紙・エコ間伐紙】
間伐が追いつかず、木の高齢化が問題になっている新潟県糸魚川市。サンコーでは、豊かな森林資源を次世代へつなげていくためのワークショップを通して、糸魚川市の「緑でつなぐ未来創造会議」のビジョンづくりをお手伝いしました。
多くの人のおもいを、ビジョンとして可視化する
さらに言えば、エコロジーペーパーを使うことだけがSDGsにおける「正解」なのか?という疑問も。私たちサンコーは、紙と印刷に携わる企業として、この難しい問題にこれまでもずっと向き合ってきました。紙と印刷をテーマにしたラジオでも、この問題については度々話題にあがっています。
<紙と印刷の様々な観点からSDGsについて語った回>
紙・印刷からSDGsを考える | 紙と印刷とラジオ 第99回
エコな紙を選ぶ基準として、紙そのものが持つ魅力とともに、その背景について考えることも、とても大切なことではないでしょうか。環境問題の「正解」というのは、一つにまとめられるほど単純なものではありません。
ただ、一人ひとりがそういった部分に目を向けながら知識や選択の幅を広げることで、SDGsはもちろん、きっとより良いクリエイティブにもつながるはず。今回の記事を通して、これからはエコに関するマークやそこにあるストーリーにも注目していただけるとうれしいです。
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
毎週火曜日の夜8時から。紙のこと、デザインのこと、印刷のことについて、 ゆるゆると語る30分。
03-5608-5741
(お気軽にお問い合わせください|平日 10:00~18:00)