トップ 廃棄される素材を再利用した紙たち【サーキュラーコットンペーパー・バナナペーパー】

廃棄される素材を再利用した紙たち【サーキュラーコットンペーパー・バナナペーパー】

公開日 2023.03.09   更新日 2023.12.13

ゴミや貧困の問題に一石を投じる「紙」とは?

サステナビリティという考え方が浸透してきたとはいえ、大量生産・大量消費社会によって今もなお排出され続けるゴミの影響は、自然環境を脅かすほど深刻化しています。
また、世界経済の急成長に伴い、先進国と発展途上国との格差は広がるばかりで、貧困問題の解決も急務とされています。今回は、それらの問題に一石を投じる2つの紙をご紹介します。

洋服の廃棄物を再利用【サーキュラーコットンペーパー】

環境破壊の大きな要因となっているゴミ問題。その中でも、繊維のゴミは全体の14%を占めるといわれ、毎年137万トンも廃棄されています。2019年の調査によると、全世界で28.5億枚の洋服が作られたにも関わらず、過半数の14.8億枚が売れ残り、新品のまま廃棄されたという愕然とするようなデータも。
「サーキュラーコットンペーパー」は、その廃棄されるはずの繊維を再利用したエコペーパーです。繊維の廃棄物を繊維に再生しても、リサイクル率は17.5%。それに比べて、紙の回収率は85%、古紙利用率は67%と高い循環率になるので、サーキュラーコットンペーパーへの再利用はゴミ問題の解決に大きく貢献しています。

上質なコットンのような柔らかさ

素材がコットン繊維ということもあり、表面は上質なコットンのように柔らかく、やさしい風合いが魅力です。また、紙の白さを高めるための処理をしないという点も大きなポイント。漂白工程における化学物質やCO2の排出は環境負荷を高めるので、それらを必要としないところも環境にやさしいといえます。

印刷適性が高く用途も幅広い

サンコーでは、サーキュラーコットンペーパーを使ったテスト印刷も行っています。オフセット印刷では落ち着いた自然な仕上がり、オンデマンド印刷では鮮やかな仕上がりとなりました。印刷適性が高く斤量も幅広いので、パンフレットやカレンダー、ポストカード等、さまざまな用途にお使いいただけます。

サーキュラーコットンペーパーのテスト印刷については、こちらをご覧ください。環境にやさしくてエシカルでSDGsな印刷用紙

理念に共感してパートナー企業に

冒頭のゴミ問題を解決すべくサーキュラーコットンペーパーを開発したのは、一般社団法人サーキュラーコットンファクトリー(以下CCF)。私たちサンコーもその理念に共感し、2021年にパートナー企業となりました。近年、CCFの理念やへの共感をきっかけにお問い合わせが増えており、今後はますます需要が高まると予想しています。

CCPとお客様のメッセージがリンクした印刷事例は、こちらをご覧ください。印刷物のメッセージに寄り添うエコペーパーの選択

環境と貧困の問題に貢献【バナナペーパー】

国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)17の目標の中でも、1番最初に挙げられているのが「貧困をなくそう」です。ここからも、いかに深刻な問題であるかが伺えますね。
「バナナペーパー」は、アフリカのザンビアで生産されたバナナの茎の繊維に、古紙または森林認証パルプを加えてつくられたエコペーパーです。現地の工場で生産・加工されているため、貧困層の人々の安定的な雇用の創出による経済発展への寄与(フェアトレード)という側面もあり、環境問題と同時に貧困問題の解決に向けても大きく貢献しています。

バナナペーパー認証マーク

バナナ繊維の配合率によって変わる認証マーク(出典:One Planet Paper®)https://oneplanetpaper.com/wfto_bananapaper/

製紙法によって変わる表情が魅力

例えば、和紙の製法だと表面はツルツル、裏面はザラザラで、表面にバナナの繊維が透けて見えます。一方、洋紙の製法であれば両面がツルツルになり、バナナの繊維は出ません。製紙法やバナナ繊維の配合率によっていろんな表情があり、厚みや強度もさまざまなので、ノートやシール、封筒、紙袋、カレンダー、ファイル等、バラエティに富んだ使い方ができます。

生産者の暮らしや健康まで支える

ザンビアの村にある工場では、バナナの茎の繊維に含まれる水分を除去したり、乾燥させたりといった作業が行われています。現地での雇用が生まれて村の人々の収入にもつながるため、安全な飲み水や栄養のある食事、マラリア予防のための蚊帳を購入したり、病院へ行ったりすることができるようになりました。
捨てられるはずのバナナの茎を活用しながら、貧困地域の人々の雇用も生み出す。SDGsと聞くと「環境」だけに焦点が当てられがちですが、それ以外の「貧困をなくす」という社会問題にもつながっている点が印象深いですね。

“おもい”とストーリーが重なる印刷物を

現代社会が抱える大きな問題を解決する糸口として生まれた、CCPとバナナペーパー。2つがつくられた背景を掘り下げていくことで、単なるツールとしてではなく「紙」そのものが発しているメッセージが見えてきました。
私たちサンコーには、紙を取り扱う印刷会社としての責任と使命があります。印刷物を通して伝えたい“おもい”がある時、今回のようなストーリーを持った紙が選択肢の一つとしてより多くの方々に届くように、そしてそれが地球の未来へとつながるように、これからも発信し続けていきます

 

 

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