デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06製本工場や抜き加工場で断裁の現場は良く目にしますが、曲尺で紙を測っていたり、断裁機に数字を何度も入力しているのはどんな理由なのかよくわかっていませんでした。という西谷さんが製本会社の篠原紙工さんに軽い気持ちで伺ったら、思いのほかディープな世界が待っていました。
紙の元のサイズは多くが4/6判(1091mm×788㎜)か菊判(636㎜×939㎜)サイズ。そのため、書籍や冊子などが完成するまでに2度、3度断裁されることが一般的です。例えば4/6判の紙は半切に断裁(1回目)→印刷→刷本を断裁(2回目)→製本→仕上げ断裁(3回目)
これは数値の入力だけで切ることができます。
針・クワエの対角の2辺のトンボを断ち、そのあとは数値の入力で切ることができそうですが、そうは問屋が卸さない!紙の伸び縮みに注意が必要です。紙や面付などの条件によっては、紙の端が1㎜ずれることもあります。そうした時は曲尺で測り、ドブで0.1mmとか0.2mm単位で調整するそうです。
製品として仕上がる最後の段階で切る。仕上げ断裁。
1回の間違いで刷本数百枚が一瞬でダメになってしまうのが、断裁の恐ろしいところ。ベテランは測って、数値を入力して、断裁までの作業にためらいがないそうですが、迷いが生じると何度も計測などの作業を繰り返してしまうそうです。「昔の断裁のオペレーターはオーケストラの指揮者に近い」と篠原さんはおっしゃいます。断裁する印刷物の完成までの全工程を把握した上で紙を切るので、効率を良くしたり、ミスを防いだり、折り・綴じ・箔押しの精度も断裁で決まるそうです。
断裁の刃は出刃包丁のように片刃なので、断裁機の内側の紙はきれいに切れますが、外側はそこまできれいには切れないそうです。そのため、デリケートな印刷物では180度回転させて、内側で切ることもあるそうです。
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
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