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PAGE2020・基調講演に登壇しました。

2020.02.09

事業創造のオープンイノベーション
~『大廃業時代の町工場生き残り戦略』から~
2020年2月7日、サンシャインワールドインポートマートでpage2020の基調講演が実施され、サンコーの有薗が登壇しました。墨田区で日々頑張っている株式会社浜野製作所株式会社望月印刷さんとご一緒に、日本中の印刷会社の方々へ東東京の盛り上がりを熱く伝えてきました。

藤井(司会):近年、オープンイノベーションの重要性が広く浸透してきました。墨田区は、製造業が9,800社から1,600社に減少する厳しい状況ですが、スミファモノマチといったオープンファクトリーの開催、シェアオフィスのオープンなどをきっかけにクリエイターや大学との交流が生まれて元気を取り戻している会社もあります。今日は、自社を連携拠点として活用し地域を盛り上げて来た製造業の代表からお話を伺います。

最初に、浜野製作所代表 浜野さんの講演です。涙なしには聴けないどん底の時代からの復活劇は別の記事にお任せし、今回はテーマに合わせた部分を抜粋!

東京ならではの特徴をメリットに変える


浜野: 浜野製作所のものづくりは、アイデア具現化の相談、設計・開発の上流工程、試作・小ロット生産、量産・組立、検証の下流工程まで一気通貫。しかし、東京は地価が高く工場は狭い。人口も多く騒音問題など配慮しなくてはいけないことが山ほどあって、製造業にはもっとも適していない土地と言えるかもしれない。普通なら勝ち目がないという条件下で、東京の特徴をメリットに転換できないかと考えました。

■大学がいっぱいある→産学官連携
浜野製作所が、大学と連携して電気自動車開発や深海探査艇の製造にチャレンジした理由は、下請けの部品加工しかできない事業構造を変えなければ生き残れないと感じていたから。プロジェクトに参画したことで、仕事で人から感謝されるという初めての経験をした。人によろこばれる仕事で、町工場を復活させたいという想いになった。

■住宅に囲まれた町工場→地域の人々に知ってもらってチャンスに変える
配材プロジェクトアウト オブ キッザニアinすみだ、スミファといったイベントを開く。事務局として掲げている目的は、参加企業に自社の強みに気付き、外部に魅力を伝えて新たな取引につなげてもらうこと。
3、4次の下請け会社の技術力は素晴らしいのに、本人たちは「大したことない」の一点張り。自分たちの強みを知らないことには、戦略も立てようがないし、情報発信もできない。まずは外部の方が見つけてくれた自分たちの魅力に気付いてほしい。

オープンファクトリーは、副次的な効果も生んだ。社員が自分の仕事をお客さまに説明することで技術や会社の方針への理解が進んだり、小さいメリットとしては社内の整理整頓が進んだというケースも(笑)。現在は、葛飾区の事業者も参加して縁が広がっている。すみだという地域で閉じないように心がけている。

■人が多く、中には能力者がいっぱい→都市型・先進モノづくり
ガレージスミダを立ち上げたのも、東京に集まる高度人材とともに先進的なものづくりに挑戦したいと思ったから。業界や業種、企業規模をまたいだ新たな仕事を自ら生み出していきたいと思っていて、現在はスタートアップが多く集まる施設になった。

■大手企業もいっぱいある→企業内ベンチャー支援
大手企業は資本がある代わりにスピード感がないこともある。浜野製作所はコンサルティングファーム、ローランド・ベルガーのモビリティ「バトラーカー」の製造に携わり、たった4ヶ月で完成。得意なものを各自持ち寄ることが大事だと感じる。

■省庁にだって近い→経産省の施策から入っていくように
実行力ある施策を決めるためにも、現場の意見が必要。省庁とも協力体制を整えている。

続いて、望月印刷株式会社の関さんからモノマチのお話です。モノマチに関わるまで、地域の方に望月印刷が知られていなくて大ショックだったそう……。

モノマチなど地域イベントに参加する大義は「先義後利」

関:望月印刷は創業から115年浅草橋で事業を営んできたんですが、現在お客さまのほとんどが法人で、地域と疎遠になっていたんです。2013年、望月印刷の社員がモノマチというイベントのボランティアとして参加をはじめ、パンフレットやチラシを当社が担当することで地域にもう一度溶け込むきっかけができました。私自身も地区のリーダーとしてさまざまなイベントを通じて、地域の方と交流を深めていったんです。

モノマチに参加する理由として大事にしているのは「先義後利」の考え方。正直、モノマチもスミファもその開催自体では儲かっていないですよね(笑)。あとあと、いい結果が生まれるはずだと思っています。年間を通してさまざまな地域イベントに積極的に参加していると、区役所が以前より意見を訊いてくれるようになった。これは大きな変化だと思います。

モノマチでは、下町の職人・町工場も新たな感性に触れて事業の新たな原動力にできていますし、印刷会社としては、パンフレットの製作などで参加店をつなぐ横糸に役目が果たせていると思います。

続いて、有薗の登場。co-labをきっかけとしたコラボレーションについてお話しします。

シェアオフィスでのコラボ誘発をし続けて、自社の仕事内容が変わった


有薗:サンコーは、墨田区にあるいたって普通の町の印刷会社。co-lab墨田亀沢は40名ほどメンバーがおり、各メンバーやサンコーとのコラボレーションづくりを使命としています。その都度チームを組んで仕事をするようになったことで、サンコーの仕事内容にも変化が出てきました。100%下請けの印刷会社が、印刷の前段階の企画から受注する仕事の売上が全体の4割程度まで増加。印刷だけの仕事も下請けと直受注が半々に。シェアオフィスのオープンから、通し単価が12%上昇するなど成果を上げてきました。

■サンコーの職人×クリエイターの事例「世界で一枚だけの名刺
デザイナーの思いと、職人のアイデアと技術が結びついて実現。デザイナーさんからのご相談を受けるようになったし、実験的な表現に取り組めるようになった。

■地域の職人×クリエイターの事例「洗える革の室内履き
地場産業である革に洗えるものがあると知ったデザイナーさんが企画して製品化。今では高級ホテルへ納入するなど新たな販路も生まれた。

■経営者×クリエイターという軸
サンコーの価値は「経営に対する理解、クリエイティブに対する理解を組み合わせて、未来をつくるブランディングができること」だとクリエイターから教わった。中小企業の経営者は孤独になりがち。相談相手になれることで事業領域を広げてきた。


その他、オープンイノベーションのひとつとして、デザイン思考の勉強会を開いたりしています。4月24日(金)に予定している5周年イベントもきっと何かのヒントになるので、ぜひいらしてください!

フリーディスカッション

藤井:産学官や異業種、地域連携に結びつく発信ってどうされてきましたか?

浜野:発信ですか……経営者が居酒屋(稲垣)で顔を合わせると、各自が自分のやりたいことや夢を語っていた。そうすると、飲み会で聞いた情報をもとに縁をつないでくれるんです。下町はおせっかいな人ばっかりで(笑)。


ただ、一番語り掛けていたのは、社員に向けてだったと思う。飽き飽きされるほど話し、話しっぱなしでは信頼されないので小さな行動を積み重ねてきました。

関:発信という意味では、イベントをきっかけに生まれた連携は発信力を持っていると思います。ただ、きれいごとだけでイベントはできない。回を重ねて、お互い知り合うことはできたので、今後は望月印刷も一部分「町の印刷屋」に戻って、互いの力を活かしてともに成長し、利益を生んでいきたい。街が元気でなければ企業も元気になれないですよね。多品種少量生産は儲からないと言われるけど、ディスカッションでアイデアを出すことで利益も出せるようになると思います。

有薗:発信には、何を伝えるかという中身がないといけない。どれだけ面白いものを生み出せるかが大事。当社では、社員が楽しんでいる印刷実験をよくアップしています。浜野さんの発信は、浜野スタイルに集約されている気がする(笑)。赤い人がいっぱいいると浜野さんの会社だと思っちゃいます(笑)。

藤井:空きスペースの活用として、シェアオフィスやインキュベーション施設を設けた二社。どんな恩恵がありましたか?

浜野:「中小企業でも、プラットフォームになりたい」という願いには、少しずつ近付いているのかなと思います。何ら決定権のない5次、6次下請けは、幸せになっていけるのか疑問だったので、下請けは立派な仕事だけど、下請け体質から脱却しようと決意しました。
実は、インキュベーション施設の存在がきっかけで、設計エンジニアを抱える大企業への現場研修もやっています。研修を受けると発注先にもなってくれて、結果的に大手企業との強固なネットワークにもつながりました。

藤井:下請け仕事のコストを下げるのは限界があると気付き、発注元のコスト計画にも参画というのは発想の転換ですよね。有薗さんはいかがですか?

有薗:デザイン受注できるという効果だけでなく、自社の価値に気付けたのは大きかったと思います。印刷の現場をデザイナーに見せるだけでよろこばれて自信になる。デザイナーと顔を突き合わせることで、印刷だけでなく、表現方法から参加できるようになったんです。紙に印刷することの価値を一緒に考えられるようになりましたね。

2時間の基調講演が終わり、名刺交換を希望される参加者にもみくちゃにされる3名の登壇者。きっと、この講演がまた新しいご縁につながるだろうと予感させました。

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