トップ OKフロートとパチカ | 紙と印刷とラジオ 第125回

OKフロートとパチカ | 紙と印刷とラジオ 第125回

公開日 2023.02.22   更新日 2024.05.22

熱を掛けることで変化をするOKフロート(平和紙業)パチカ(竹尾)。2つの紙の特徴について西谷さんに伺いました。

そもそもどんな紙なのか?

OKフロートとパチカに関する質問が、平和紙業さんには多く寄せられるそうです。特に多いのが「OKフロートとパチカではどちらが透けるのか?」「印刷加工の際に注意することは?」「紙の値段はどちらが高い?」といった内容だそうです。
それぞれの原料はパルプとSWP(スチレンウッドパルプ。石油由来の繊維)で、このSWPに熱をかけることで変化するのは同じです。ただSWPの割合がパチカの方が高いことで両者の性質は異なります。
OKフロートは7色展開の色紙ですが、熱をかけることで色が濃く変化する特徴を持っています。一方でパチカは白のみの展開ですが厚みは350kgまであり、熱を掛けることで透明になります。

どんな加工や表現が出来るの?

OKフロートの特徴は変色すること

箔押しで使うホットスタンプで熱と圧を加えることで、紙色が大きく変化します。加えて紙質もつるっとして光沢が出てます。名刺やカードに加えて、自費出版(同人誌、詩集句集)などでこだわり強い方が使うことが多いようです(twitterでOKフロートで検索すると、同人系の出版物が多くヒットします)。

パチカの特徴は透過すること

パチカとOKフロートのホワイトは、熱を加えることで少し透明になります。少しと書いたのは透明フィルムのようになるわけではなく、トレーシングペーパーやグラシン紙のようにうっすら透けるようなイメージが近いです。そしてSWPの配合率の高いパチカの方が、OKフロートよりもより透ける傾向があります。

印刷や加工における注意と価格

OKフロートとパチカを特徴づけるSWPは、パルプ繊維とは性質が違うため印刷や加工で注意が必要な場面もあります。

印刷は紙剥けに注意が必要

インクの粘りで紙面上のSWPがとれ、紙粉や紙剥けが起きやすいそうです。特にベタ面印刷をすると、繊維がブランケットに付着してその部分が印刷不良になるトラブルが起きやすいので注意が必要です。

スジ押しは割れに注意

SWPの割合が高いパチカは、目に沿って押しても紙を折った際に折割れが起きやすいようです。そのため、書籍カバーで使用する場合などはPP加工をすることで折割れを防ぐことが必要です。

価格はSWPの配合比率に比例する?

SWPの割合が高いパチカの方が、紙の価格は高いようです。

OKフロートやパチカの性質を利用した表現方法

熱によって透過する性質を活かして、紙の裏面に印刷した色を表面に浮き出させたい。そんな相談を受けることもあるようです。透明度の違いからパチカならある程度鮮やかな色であれば表現可能ですが、OKフロートは蛍光ピンク、蛍光オレンジ、蛍光グリーンなど強い色でなければ難しいようです。

なるほどなOKフロート!

OKフロートの熱によって色が変化し少し透過する特徴を活かして、紙谷刷太郎さんが企画したのが「なるほどなOKフロート!」のミニポスターです。OKフロートの詳しい説明や、なるほどなOKフロートの制作過程は『noteなるほどなペーパー』の中で紙谷刷太郎さんが詳しく解説しています。また、storesでは「なるほどなOKフロート」ミニポスターも販売中!
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