トップ 蛍が棲む水で作られた日本酒のラベル作り

蛍が棲む水で作られた日本酒のラベル作り

公開日 2024.08.08   更新日 2024.08.08

様々なデザインを行っているデザインスタジオVOLA inc.の佐藤様。普段広告制作を共にしているクリエイティブチームで考えた「蛍が水利きした日本酒」という日本酒のコンセプトを実現できそうな酒蔵さんを探し、三重の元坂酒造様と出会い、蛍が出現した年にだけ醸造する日本酒『KATARU HOTARU(語蛍)』が生まれました。そのラベル作りについてサンコーにご相談頂きました。

三重県で6代にわたり酒質にこだわる元坂酒造様の酒作り

江戸時代末期である1805年(文化2年)に三重県で造り酒屋として創業した元坂酒造様。主に三重県産のお米を原料にした地元還元型の酒造りを行いながら毎年工夫を重ね酒質の強化に努めているそうです。今回佐藤様がラベルをデザインした日本酒はホタルが訪れた年にしか飲めなく、失われつつある日本の原風景を語り継ぐ、”共生型日本酒”『KATARU HOTARU(語蛍)』。手ですくい取った水のような透明感が特徴のお酒です。

古い証明書のようなラベル

古い証明書のような存在感を持たせるためのデータ作成

日本酒的な佇まいのラベルを目指すのではなく、脱日本酒的な見え方になることを当初から意識し「水の品質を保証する証明書」にも見えるようなラベルのデザインを佐藤さんは考えました。実際に公的機関が発行した書類のような存在感を持たせるため、古い印刷物のようなインクの掠れや滲みを意識し、リアリティを持たせられるようにデータを作りをしました。よく見ると、これは印刷で掠れたり滲んだりしているのではないのです。

タック紙の選定

佐藤様が以前相談されていた印刷会社では、タック紙は指定の見本帳の中でしか選べなかったため、他の紙にも試してみたいとサンコーにいらっしゃいました。上質紙よりもくすんだ雰囲気の紙をイメージされていたので、上質訂正用キセバ、再生上質紙、普通の上質紙の3つに選択肢を絞り色校正をした結果、再生上質紙に決定しました。

オフセットではなく凸版印刷をあえて選択

印刷方法を選定するにあたってオフセット印刷だと網点が綺麗に出てしまい、クリアな仕上がりになってしまいます。今回はデータで再現された掠れや滲み具合を活かすために進和ラベル印刷株式会社様と相談し、色校正も本番も凸版印刷で行うことになりました。凸版印刷とは複製したい(印字)部分を凸状にした版にインクをつけて印刷する手法のことです。色校正では印圧をしっかりかけたため、意図よりもはっきりと印刷されてしまいました。もう少しかすれさせた方が良いとのことで、佐藤様には強めにかすれさせた修正データを作成頂き、本番の印刷ではより印刷を下げ、古い水質証明書のようなラベルの印刷が実現しました。

まとめ

水質証明書のようなデザインを活かす紙と印刷方法の選択により、蛍が選んだ水質が伝わる日本酒ラベルになりました。印刷したラベルが貼られている日本酒をサンコーで頂きました。癖がなくまさに水のように飲みやすいのど越しのお酒。ぜひ皆さまにも飲んで頂きたいお酒です。

KATARU HOTARU(語蛍)日本酒ラベル印刷
デザイン:VOLA inc.佐藤準也様
印刷:進和ラベル印刷株式会社様
ディレクション:株式会社サンコー

03-5608-5741
(お気軽にお問い合わせください|平日 10:00~18:00)

© SANKO