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なぜ印刷物の色はモニター通りに仕上がらないのか? | 紙と印刷とラジオ 第145回

公開日 2023.07.19   更新日 2023.07.23

パーソナリティ2人とディレクターK氏が数十袋は食べたという亀田製菓の無限エビの話題から、ラジオはスタートしました。その無限エビをボリボリかじりながら、「なぜ印刷物の色はモニター通りに仕上がらないのか?」について語っています。

 

モニター通りの色に印刷が仕上がらない理由とは?

学術的なことはわかりませんが、有薗としては以下の3つが大きな理由だと言います。

透過光と反射光の違い

これはステンドグラスと絵画の違いと思ってもらうとイメージしやすいでしょう。モニターの光は透過光なので、ステンドグラスのように透けた光を見ています。一方で印刷物は反射光なので、油絵のように物体に当たって反射した光を見ています。そもそも見えている光が違うのだから、同じように見えるわけがない。という原理原則から理解する必要があります。

RGBとCMYKの違い

さらに発色方法の違いによって差が広がります。RGBは3色を合わせると白になるという特性があります。一方CMYKはCMYの3色を合わせると黒(グレー)になります。この特性の違いから、特に明るい色の表現において、違いがはっきりしていきます。明るい黄緑や紫、ピンクなどは、RGBとCMYKとでは色域が大きく異なり、CMYKでは表現できない色がたくさんあります。それら明るめの色が、CMYKで表現できる領域まで暗くなってしまうことで、モニターで見ているのとは違う、くすんだ仕上がりになってしまうのです。

絶対的な明るさの違い

透過光と反射光の部分と関連しますが、モニターはバックライトの明るさによって画面のハイライト部分の明るさが決まります。最近のモニターは大変明るく、明るい表現が可能です。一方で印刷物は紙の白さ以上に明るくなることはありません。
太陽がキラキラと反射した波頭の写真をイメージしてください。RGBの3つの液晶が灯って白く発色したモニターと、CやKの網点が若干乗っかった紙とで、どちらがより明るく見えるかは言うまでもありません。

どうしたらイメージ通りの色に印刷が仕上がるか?

モニターと印刷とは同じ色には仕上がらないですが、それでもモニターで見たイメージで印刷を仕上げたい。そんなときには以下のような解決策があります。

CMYKモードでデータを作成する

PhotoshopなどでCMYKモードを選択すると、CMYKの色域から外れた色が色域内に調整されます。最初からくすんだデータとなるので、そこから調整していけば、印刷したときに全く違うデータになってしまうことは避けることができます。デザイナーさんがネット印刷に直接入稿する時などに有効な方法です。

印刷会社とよく相談する

デザイナーさんが色を調整できる範囲は、明るさやコントラストを調整することが中心になると思います。一方で印刷会社のレタッチ職人なら、色の濁りの原因となっている色を取り除く。印刷適正を考えながら、RGBからCMYKに変換するカラープロファイルを変更して望む仕上がりに近づけていく、などの様々な技を持っています。
例えば、印刷会社で一般的に使われているジャパンカラーのプロファイルでは、グレーを表現するのにはCMYをメインにして、Kを補色として使います。その結果、薄曇りの空などの微妙な色合いがCMYによって表現されますが、一方で色がくすみやすい傾向にあります。そのようなときは、Kでグレーを作り、CMYは出来る限り原色に近い使い方をすることで鮮やかさが増すこともあります。逆にファンシーペーパーでインキを吸い込みやすい非塗工紙なら、インキ供給量を増やす方向で色の変換を行います。デザイナーの意図を組み、印刷適正を考えてどのようなデータを作れるかが印刷会社の技量です。

RGB印刷・カレイドインキで印刷する

RGB印刷とは、発色の良いデジタル印刷機を使い、オフセット印刷のCMYKよりも広い色域が印刷できる方法を言います。残念ながらRGBのまま印刷するわけではありませんが、それでもよりモニターに近い発色が可能です。カレイドインキは東洋インキの製品で、オフセットのCMYKインキと置き換えるだけで、かなり発色が良くなります。デジタル印刷機を使った印刷よりも用紙の対応幅も広く大ロットにも対応できます。サンコーではカレイドインキの認証取得に向けた準備を進めています。

 

ということで、モニターと印刷は全く別のものということを理解し、そのうえでこのデザインではどんな色を大切にしたいか?ということをきちんと印刷会社とすり合わせ、必要な技術を選択することが大切。という結論に達したことで、次の無限エビに手が伸びた有薗でした。

紙と印刷とラジオ、パーソナリティの二人カレイドインキと通常インキの違いを確認しています

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