デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06最近は「ということで」と言いながらラジオがスタートすることが多いような気がしてきた今日この頃、紙と印刷とラジオも4か月目に入りましたね。前々回の前田瑠璃さんの回はアーカイブ視聴者数が現在1381名、前田さんとコスモテックさんの力はすごいなと改めて実感しております。さて今回は前回に引き続きお金の話。西谷さんが有薗に根掘り葉掘り問い詰めました。
印刷代、加工代、様々な場面で費用が発生していく印刷の世界。まず機械代が高額です。サンコーには菊半裁の機械が2台ありますが、1台は約1億円、もう1台は約5000万円もの費用がかかっています。他にも機械はありCTPの機械に4〜5000万円、製本機も数百万〜数千万円、オンデマンド機はその中でも安い方ですが数百万円かかり、経営者の両肩には借金が積もっていきます。1台1億円の印刷機を10年で償却するならば年間コストは1000万円、1か月では88万円、1日で4万円のコストが発生します。この機械のコストを上回るため、より沢山の仕事を効率よく回し続けなければならない。というのが印刷会社の根底にある課題です。
オフセット印刷機は、インキが満遍なく機械の中にいきわたり、印刷具合が安定するまでに時間がかかります。サンコーにあるオフセット印刷機は1つの仕事で15分〜30分程度調整に時間がかかります。ところが最新のオフセット印刷機は(イレギュラーな印刷や特殊な紙やインキを使った印刷に弱いところはありますが・・・)、色出しが1分程度で終了してしまいます。以前であれば小ロットの印刷は小型の機械で行い、大ロットの印刷を大型の機械で行っていましたが、今は大型の機械で小ロットから大ロットまでカバーできるようになりました。しかしそのような印刷機はより高額なので、より多くの仕事をこなさないといけなくなっています。結果として、業務を標準化して、手間のかかる仕事は敬遠するようになっています。
特色はより時間も費用もかかります。白インキを使った印刷の場合は前の仕事の色が混ざり込むため前日に機械を洗い、朝一番に刷ります。
インキの調色も時間がかかります。複雑で、インキディスペンサーというインキを測って調合する機械はありますが、紙の色味やインキの入り具合が紙によって違うので最終的には職人が手作業で合わせていく必要があります。
通常のインキを用いたオフセット印刷も同じですが、濃度が安定するまで試し刷りのための紙が必要で、細かな調整は本紙を入れないと微調整が出来ません。そこに抜きや箔押しなどの複雑な工程が入るとより予備の枚数が増えますね。結果として500枚の仕上がりなのに、用紙は1000枚必要。といったことが起きます。
これらの作業手順や調色、試し刷りなどの内容の組み合わせで印刷にかかるコストが変化します。印刷物を予算内に納めるため印刷会社と相談するときは、このようなコストの仕組みを理解しておくと話がスムーズですよ。
通販印刷が一般の印刷会社に対して圧倒的に値段が安い理由は、例えばA4のチラシを1000枚印刷する場合、印刷会社で印刷をすると4面分同じデータを菊半裁の版に面付けをし250枚印刷、断裁します。通販印刷だと菊全判の紙を使って8面別の会社の原稿を面付けして一気に印刷を刷るので(=多面付け/ギャンギング)、印刷会社で小ロット印刷をすると台数料金の方がかさむところを8つの原稿で初期費用を割ることができコストが下げられます。
価格面では通販印刷をおすすめしますが、より紙の質感や印刷の細かい拘り、加工方法を相談しながら印刷をしたい場合は印刷会社をおすすめします。
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
毎週火曜日の夜8時から。紙のこと、デザインのこと、印刷のことについて、 ゆるゆると語る30分。
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