デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06今年の夏は梅雨明けが早くて暑い日が続き、電力がひっ迫しています。ということで紙や印刷と電力の関係について考えてみました。
サンコーにある菊半歳の印刷機の消費電力は、説明書によると29キロワットだそうです。家庭用エアコンが1.5キロワット程度なので、印刷機1台でエアコン20台分も電力を使うそうです。さらに夏の湿度は印刷の大敵。機械が熱を発している中でエアコンは必須。また刷版をするためのCTPは、26度以下に部屋を保つ必要があります。また、DTPで使われるサーバーも熱に弱いため、週末や夏休み中などオフィスに人がいないときも、フロアのエアコンを1台だけ動かして休みの日の室温が上がり過ぎないようにしています。
製紙工場でエネルギーが大きく使われるのは紙を乾かす工程であり、電力よりも石油やガスや石炭の方がエネルギーとして多く使われます。だから、原油価格の高騰やパルプの高騰の方が影響が大きいとのこと。
活版印刷なら、パソコンも不要で電気が全く無くても印刷することができます。さらに手漉きの和紙であれば乾燥のための電力も要らない。究極の節電印刷物かもしれません。
印刷工場が節電をしようと思うと、結構難しいのが正直なところ。納期があるから時差で仕事をするのは難しいし、エアコンを使わないで紙がゆがんだり、汗が印刷物に落ちてしまうのも良くない。照明を落としたら印刷物の色の判定が出来ない。できることはあまりなくて、効率よく仕事をして工場の稼働時間を短くする位しか出来ることがありません。
電力料金、用紙、インキ、溶剤など印刷に関わるあらゆる資材が値上がりしていて、印刷料金も値上げせざるを得ない状況になっています。その結果、印刷物が本当に必要なものかどうかの見極めが進むでしょう。だから、仕事量は確実に減ると思います。そのかわり紙でなければならないものの見極めが進むことで、わざわざ印刷する物は質感も仕上げにもこだわるようになり、簡単に捨てられないものになる。そうすれば電力や石油を使う量も減って、本当の意味の電力ひっ迫対策、エコになるのではないか。そんなことを考えてみました。
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
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