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印刷会社が印刷会社のホームページを作る!?

公開日 2024.10.03   更新日 2024.10.11

サンコーはおもいをカタチにする印刷会社ですが、co-lab墨田亀沢のメンバーさんたちとのコラボレーションによりwebサイトも制作しちゃいます。今回はスバルグラフィックという印刷会社さんのwebサイトを制作しました。印刷会社が印刷会社のwebサイトをどう作り上げたかをご紹介します。

製本や配送まで手掛けるスバルグラフィック

スバルグラフィック集合写真

サンコーは商業印刷が中心で、顧客はデザイナー、一般企業、印刷会社と幅広いことが特徴です。一方スバルグラフィックは、顧客の大半が印刷会社。商業印刷、書籍印刷、パッケージ印刷と幅広いジャンルの仕事をこなせる都内有数の設備を誇る印刷会社です。
同業者同士の2社ですが、出会いのきっかけは印刷業界の繋がりではなく、2023年にco-lab墨田亀沢で行ったwebセミナー『スミカメゼミ特別版 経営者のための聴く力講座』でした。インタビューを通じて本音を引き出すライターの「聴く力」をマネジメントに活かしてもらうために開催したセミナーに、スバルグラフィックの坂井工場長が参加されていました。ちなみに、リニューアル前のサイトは坂井工場長のお手製!リニューアルに向けてweb制作専業の会社とも打合せをされたそうですが、印刷業界の顧客に伝わるサイトを作るには印刷に関する知識が無いと難しく、依頼先に困っていたそう。セミナー終了後に相談のご連絡を頂きました。

顧客価値の明確化を通じたサイト制作

サイトの目的は、顧客や求職者に対して会社の価値を伝えることです。そして企業の価値には、設備などによる機能的価値と、どのような思いで仕事をしているかなどの意味的価値の2つがあります。成熟した市場では機能的価値は似通ってしまうため、通常、サンコーが行うweb制作では意味的価値を可視化することを重視してきました。
しかし、スバルグラフィックの顧客である印刷会社が下請の印刷会社に求めるのは、依頼を受けた原稿を速く、正確に作ってくれる機能的価値です。そのため、都内でも有数の設備や24時間対応といった機能的価値を最優先に伝えることを意識しました。
同時に特定の設備に特化してそれ以外は外注することが多い印刷業界で、これだけ幅広い設備を整えてきた背景を深堀りすることで、スバルグラフィックの持つ意味的価値を見つけ出して表現できたら、印刷会社の顧客にも伝わるはずだ。そのように考え、サイト制作の方法を考えていきました。

創業者の声をヒアリングしてイラスト年表に

創業者の松本脩会長は御年89歳。千葉の南端にあるご自宅までお伺いし、インタビューを行いました。一度製版会社を創業したもののオイルショックの影響で廃業。その後、新たにスバルグラフィックを創業し、製版会社という印刷の中間工程を扱う会社から、総合印刷業に成長されていく歴史を伺いました。長い経営者人生においてご縁をとても大切にされており、創業のきっかけも、その後の業界の荒波を超えるヒントも、仕入先とのご縁によってもたらされたと話されていたのが印象的でした。
ご縁に支えられたこれまでの経営者人生を、アラワスの関美穂子さんがイラスト年表に仕上げてくれました。

松本会長の生涯をイラストで表現した年表経営者として海に漕ぎ出し、一度倒産して陸に戻り、スバルグラフィックとして再度の出航。大きな波を乗り越えてきた人生をイラストにしています。

創業者と二代目に通底する理念を見出す

もちろん、二代目社長の松本仁志氏にもインタビューを実施します。仁志社長が経営を担うのは、印刷産業が成長期から飽和期を経て衰退期に突入した現代。設備による差別化だけでは顧客価値を生みにくく、社員の価値観も変わり、働く意義を会社に求めるようになっています。仕入先とのご縁を大切にした脩会長と、社員や顧客に寄り添うことを大切にする仁志社長。お二人とも、人とのつながりを大切にする、人が好きな経営者であることは通底していました。
そんな経営に対する思い(意味的価値)と、印刷業界のプロに向けて機能的価値の両方を伝えることを目指し、ライターの岡島梓さんがキャッチコピーとリード文に纏めてくれました。

サイトのトップビジュアル

昼も夜も、東京の印刷工場が想いを形に
わたしたちの仕事は、お客さまの「伝えたい」「こうしたい」から始まります。
仕様書には現れないその想いに、印刷から配送まで全工程でよりそい続け、技術と知恵を尽くして形にします。

 

機械スペックを明記した設備リスト

印刷のプロが外注先を探す際は、依頼したい業務をこなせる設備を持っているかどうかで判断します。その時に問題なのは、印刷機はオーダーメイドに近く、機械の名前を見てもスペックが判断できないことです。対応できる紙の厚さなどは同じ機械でも使用する印刷会社によって異なるため、問い合わせなければわからないことが多いのです。しかし、外注先をwebで探しているタイミングというのは、普段の協力工場が対応できず困っているとき。かつ、たいてい納期が迫っています。そのため、全ての印刷、製本機械を撮影し、機械スペックを詳細に掲載しました。業界人しかわからないマニアックな機械スペックがずらりと並び、個人的にはこのサイトの一番のお気に入りポイントです(笑)
撮影はカメラマンの松本岳志さん。松本仁志社長と「はじめまして。松本です」とお互い名乗りながら名刺交換されていたのが印象的でした。

印刷機のページ印刷機の紹介ページ。普通の印刷会社ならこのページを作って終わりです。 印刷機の詳細ページ印刷機事に詳細なスペックが記されています

プロに向けた情報発信のインフラ

坂井工場長にヒアリングしたところ、「お客様の多くは、スバルグラフィックの保有設備などをご存知で、サイトを相当調べてから問い合わせをしてくださっている」とのことでした。であれば、webサイトを営業マンに仕立て上げ、新規顧客を開拓してもらおうと考えました。サンコーには、デザイナーに向けてサイトやメルマガで情報発信をしてきたノウハウがあります。webでの新規開拓をするには、ブログ機能を持って専門的な情報発信を継続することが必要で、CRMのhubspotを導入して顧客管理やメルマガの送信を行うことは確定でした。
これまでのサイト制作では、外部にサーバーを借りてWordPressをインストールすることが主流でした。デザイン性の高いサイトを簡単に作れる一方で、この方法はハッキングのリスクが常につきまとい、WordPress本体とプラグインソフトの整合性を気にしながらアップデートし続けることが求められます。そのため、HubSpotが提供するASPを使用してサイトを構築しました。これならHubSpotが常に安全な環境を維持してくれ、CRMとの親和性もばっちりです。
サイト制作とマーケティング支援は、サンコーのサイトでもお世話になっているSoichiroさんです。

ペルソナが作るwebサイト

印刷会社のwebサイトを、印刷会社が作る。ちょっと珍しい組み合わせでしたが、スバルグラフィックのペルソナ(ターゲット)はサンコーそのもの。事実、サイト制作中にサンコーの印刷機では対応できない案件があり、スバルグラフィックに印刷をお願いすることがありました。
BtoBのお客様のサイト制作では、実際の顧客になれるケースは少なく、顧客の目線を想像しながら仕事をしなければなりません。しかし、今回は自らが顧客の立場になることで、よりユーザーに寄り添ったサイト制作をすることが出来ました。


スバルグラフィックwebサイト制作

企画・ディレクション:有薗悦克(株式会社サンコー
イラスト年表作成:関美穂子(アラワス
コピーライティング:岡島梓(フリーライター
web制作ディレクション:扇塚宇明・松尾 裕美子(株式会社Soichiro
webデザイン:齋藤 花奈(株式会社Soichiro
webコーディング:鰐川 あすみ、鶴岡 駿(株式会社Soichiro
写真撮影:松本 岳治

03-5608-5741
(お気軽にお問い合わせください|平日 10:00~18:00)

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