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ゲストトーク 佐々木響子さんの箱ミュニケーション的視点 | 紙と印刷とラジオ 第27回

公開日 2021.02.03   更新日 2023.07.20

最近声のSNSこと「Clubhouse」が流行り始めましたね。音声を使ってやり取りするアプリは今まではあまり普及していないものだったように思います。
お気づきでしょうか?ツイキャスで配信している紙と印刷とラジオが「Clubhouse」よりも前に音声配信をしていることを。。時代が私たちに追いついてきたようですね。

今回は泰清紙器製作所より佐々木響子さんにお越しいただきました。美大を卒業してから貼箱の製造を行う工場との出会い方、仕事についてお話いただきました。

泰清紙器の製作部署

泰清紙器製作所は1965年創業後埼玉県戸田市に工場と営業所を構え、職人が拘りを持って貼箱を中心に製作しています。高級感を求められる和洋菓子やブランドの革小物用のパッケージに使われています。手作りの小ロットから、全自動機による大量生産の箱、対応企画、設計サンプル制作まで柔軟に対応している会社さんです。
佐々木さんの所属する制作部は、佐々木さんが入社した際に新たに作られた部署で、貼り箱の企画・設計からサンプル制作を担う部署です。他にも貼り箱制製作を発信する広報業務も兼任されています。

好きな「箱」の会社に辿り着くまで

佐々木さんは、東京芸術大学でデザインを学び、卒業後は秋田美術大学にて3年間助手を務めました。その後の進路については作家活動か就職か迷っている時に建築インテリアの内装設計会社に声が掛かり就職しました。しかし内装設計会社での案件は規模が大きく、スパンが長い仕事が合わないと感じ、大学時代から好きだった貼箱を作っている会社、泰清紙器さんに転職し今に至るそうです。建築と貼箱、一見繋がりが見えないように感じますが、「建物も大きな箱、棺桶も箱」と同じ箱のように思っているそうです。

美大生と製造工場の関係性

芸大時代から佐々木さんは箱に興味があり、箱を扱った作品を制作することもあったそうです。なので泰清紙器さんには「好きなことに触れられる職場」というイメージがあったとのこと。しかし、印刷や製造に携わる古い職人さんたちは「好きなことを仕事にする」という職業観はあまりありません。就職した時には、仕事に対する温度感の違いを感じたそうです。
美大で学ぶことは絵やデザインの描き方だというイメージがありますが、課題を通して自分なりの答えの見つけ、それをどう表現するかを繰り返し学ぶ場だった。だから、そこで培われた視点は加工現場の中でも同じように活かせる。佐々木さんはそう言います。

最後は美大卒の人達のキャリアの話しに。法学部を卒業した学生が全て弁護士になるとは限らないように、美大卒業の仕事も作家やデザイナーだけではない。学んだことを一般のビジネスで活かすという考え方もある。是非選択肢として加工会社を考えて欲しい。自分の仕事を狭くとらえずに、やりたい仕事を引き寄せるポジションを作っていく。そんな働き方があることを学生さんに伝えたい。という佐々木さんの視点は、目から鱗でした。

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