デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06知っているようで知らない厚紙印刷や合紙について語りました。
サンコーの印刷機では、紙の厚みは0.28mm程度が上限で、それ以上の厚みは厚紙専門の会社さんに依頼します。同じように見える印刷機でも、用紙を搬送する爪などの部品が異なるようです。
さらに印刷機が対応できる紙の厚さであっても、厚紙は印刷が難しいと職人は言います。印刷機の中で紙は上に行ったり下に行ったりと波打って進みます。そのため、厚くて硬い紙は紙が暴れてしまって咥え尻側が汚れが出てしまうこともあります。紙の重さが原因で裏付きしてしまったり、厚みが倍になれば保管場所も倍になったりと、厚紙印刷には難しさがあります。
さらに曲がりづらい段ボール紙は、オフセット印刷機を通ることすらできません。だからフレキソ印刷という凸版印刷が印刷の主流です。
合う紙と書いて合紙といいます。貼合(てんごう)と呼ぶケースもあります。これだけを専門にやっている会社が多く、印刷会社や製本会社が紙を持ち込んで貼り合わせてもらうのが一般的です。
合紙の作業は機械に給紙してローラーでのりをつけた面に、手作業でもう1枚の紙を載せてローラーで圧着します。かなり人力の作業なため、小ロットでもできてしまうのが特徴です。
絵本やジグソーパズルなどが該当します。ケースとしてはこれが一番多いと思います。
違う銘柄や色や厚みの紙を組み合わせることで、紙のバリエーションを増やすことができます。厚みが足りないときに厚みを増したり、色違いの紙を組み合わせることでリバーシブルにしたり、片面だけの型押しの紙を合紙して両面型押しを作ったりと可能性は無限にあります。しかも小ロットから作れることで表現の可能性が広がります。
糊の影響で紙が反りやすいことが合紙の懸念点です。どんな紙目でどのような厚みを組み合わせたら反りが出づらいかはケースバイケースなので、合紙屋さんによく相談してみてください。ただ、アルミ蒸着紙と普通紙の組み合わせなど、違う種類の紙の組み合わせは反ることが多いので要注意。
反りを少なくするには合紙をしてから少し置いておくこと。加工後数日寝かすと収まるそうなので、合紙をする場合には日程に余裕を持つことがお勧め。また、タック加工ならお金はかかるけど反りは出づらいようです。
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
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