デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06印刷の営業マンに相談してもなかなか思うような答えが返ってこない。そんな悩みを持っている方が多いのではないでしょうか?その理由はどこから来ているのか。デザイナーの仕事との違いを知ってもらうことで、両者の溝を埋めることができたら。そんな思いで「印刷営業という仕事」について語りました。
印刷会社の目線では、答えが回りくどくなる理由は3つ考えられます。
印刷の契約は業務請負契約が一般的です。これは指定された期日までに、指定された数量・仕様で納品できなければ、発生した損害を賠償する責任を負う契約形態です。そうなると、うまく行かない可能性にチャレンジして、結果として全てのリスクを負うくらいなら、初めから「出来ないことはしない」というスタンスになりがちです。
印刷の仕事の大半は、仕様が決まっていて、品質はきちんとできていて当り前。そうなると、自ずと納期と価格での勝負となります。良い仕事をしてそれに見合った対価を頂く。という考えは持ちにくい傾向にあります。
印刷機の減価償却費、工場の家賃、工場の人件費など、印刷会社は印刷機に関わる固定費がたくさんあります。そうなると、価格を下げてでもたくさんの印刷物を受注し、効率的に機械を回すことで利益を最大化させようとします。うまくできるかどうか分からない難易度の高い仕事を時間をかけてこなすことは、手間がかかるだけでなく、他の仕事にまで影響してしまう可能性もあります。
「出来ない理由ばかりあげて、責任逃れのネガティブな人ばかり」そんなイメージを印刷営業に持たれるかもしれませんが、西谷さんが会われた紙加工会社さんの話が別の視点を提供してくれます。紙加工は印刷以上にやってみないとわからないことが多く「やってみたけど思わぬことが起きて上手くいきませんでした。すみません!」となって納期に間に合わないことは許されません。検証の時間がとれないスケジュールで間に合わなくなってお客様を困らせるよりは、間に合わせるための仕様で進めていくということは、営業としてのお客様への誠実さかもしれません。
このように異なった価値観を持つ印刷営業とどう付き合うか?について、既出の印刷加工会社さんは、
・何を作りたいか、しっかりイメージして打ち合わせを行うこと
・コストのデザインの折り合いをつける柔軟性をお互いがもつこと
この2つが大切だといいます。たしかに、イメージを明確に持っていると、折り合いをつけるための優先順位がつけられそうです。
リスクを回避してチャレンジしないという仕事のあり方は、お客様に迷惑を掛けないという正義ではあります。しかし、チャレンジしない仕事は、誰でも出来る仕事。その様な印刷物は紙でなくてもいい仕事になる可能性が高いとも言えます。
デジタル化の時代に新しい紙の価値を追求するのであれば、リスクをお客様と共有して印刷会社がチャレンジしていく必要がある。そんな風にサンコーとしては考えています。
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
毎週火曜日の夜8時から。紙のこと、デザインのこと、印刷のことについて、 ゆるゆると語る30分。
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