デザインのひきだし50に掲載されました!
2023.10.06印刷は終わった
これからはネットの時代だ。印刷は作った分だけコストが増えていくし、印刷したらもう修正できない。
消費者の行動履歴を追えなくて、マーケティングデータが取れない。
出来上がった印刷物は時間とともに汚れるし破れるし、用事が済んだらゴミになるだけだ。
完成までたくさんの段階があって時間もかかるし、何度もやり直したりして無駄なことも少なくないかもしれない。
だからデジタルには勝てない。残念ながら印刷の時代は終わった。
株式会社サンコー
昨年まで干支のイラストを使った普通の年賀状をサンコーでは送ってきました。でも、この年賀状に意味はあるのだろうか?世の中の流れでもあるし、もうやめてしまってもいいのではないか?10月頃に社内ではそんな会話をしていました。
一方でサンコーは紙の価値を考える会社を目指しています。コロナ禍で人と人とが会う機会が減り、人が介在することで渡される印刷物の需要は激減しており、11月の印刷用紙の国内出荷額は前年比15.3%も減少しました(日本製紙連合会)。
自分たちの年賀状から、新しい時代の紙の価値を創り出すことにチャレンジしなければ。そんなおもいでプロジェクトがスタートしました。
検討の結果、スクラッチ印刷を使うことを決定。年賀状の一部にスクラッチ印刷を行い、受け取った方が削るという体験を通じて私たちのおもいを伝えられないか。そんな方向性が決まりました。
コンセプトが決まったので、スクラッチ印刷を通じて自社の企業理念を社員さんと共有されていたインクデザインの鈴木潤さんに相談。「印刷は終わった」というタイトルと、文章の一部を消しておいて、削ることで意味が反対になるという方向性が決まりました。
インクデザインさんのスクラッチ印刷の事例はこちらから
印刷は終わった
これからはネットの時代だ。本当にそうだろうか。
印刷は作った分だけコストが増えていくし、印刷したらもう修正できない。だからこそ伝えたいことに向き合うし、ミスが許されない緊張感は良いコンテンツを生み出す。
消費者の行動履歴を追えなくて、マーケティングデータが取れない。そのかわりモニタに影響されない色を表現でき、モノとして手元に残る。
出来上がった印刷物は時間とともに汚れるし破れるし、用事が済んだらゴミになるだけだ。チラシで作った紙ヒコーキは僕らの宝物だったし、時間とともに汚れ破けた教科書は自分のものだとすぐにわかった。
完成までたくさんの段階があって時間もかかるし、何度もやり直したりして無駄なことも少なくないかもしれない。そこには多くの人の「おもい」がこもっていて、手触りや雰囲気とあわせて簡単に捨てられない「おもさ」がある。
だからデジタルには勝てない。残念ながら印刷の時代は終わった。そうじゃない。そうであってはいけない。私たちは印刷の力を信じる
情報を伝えるメディアから、五感で伝わるメディアに。
これからが印刷の時代
株式会社サンコー
※太字部分がスクラッチで隠れている箇所
用紙:アラベール200kg
オフセット印刷(スミ+ニス):栗瀬達也(株式会社サンコー)
断裁:権平拓人(株式会社サンコー)
DTP・CTP出力:小澤広政(株式会社サンコー)
スクラッチ印刷:株式会社プロセスコバヤシ
コンセプト:株式会社サンコープロジェクトメンバー
デザイン:鈴木潤(インクデザイン合同会社)
テキスト:有薗悦克(株式会社サンコー)
進行管理:岡部和彦(株式会社サンコー)
カラー写真を全て蛍光色に置き換えたり、4色機で一気に12色印刷してみたり・・・。印刷職人ですら予測出来ない事を実験しています。
毎週火曜日の夜8時から。紙のこと、デザインのこと、印刷のことについて、 ゆるゆると語る30分。
03-5608-5741
(お気軽にお問い合わせください|平日 10:00~18:00)