トップ世界に1冊しかない手帳の完成を目指して(前半)

世界に1冊しかない手帳の完成を目指して(前半)

2017.08.17

ネットで手帳を自由にレイアウト・構成・注文できるネットde手帳工房の『ワタシメイド手帳』は、先日の記者会見でお披露目を行い、9月4日からいよいよ正式なオーダーが開始されます。それに先立って、製造を担当するサンコーと篠原紙工の2社の担当者が集まった、現場ミーティングが開催されました。サンコー・篠原紙工それぞれ7名ずつ、合計14名が参加しました。この2社の社員数はそれぞれ20名前後。その中から7名もの社員が参加するのですから、2社の町工場にとってはかなり大掛かりな会議です。

1冊ごとに中身が異なるということ

印刷は、1冊の原稿を大量に複製することを目的に発明されました。従って、私たちは品質を担保しながら、いかに大量に、いかに効率よく印刷・製本をするか。ということを追い求めてきました。

しかし、今回のワタシメイド手帳では、1冊1冊印刷される内容は異なります。そうなると、同じ原稿を複製することを前提に作られた業務フロー、もっというと業界全体の常識を疑って掛からないと、どこで想定外のトラブルが起きるかわからない。9月4日のサービスインに向けて詳細を詰めていく中で、そんな危機感が2社の間に広がっていきました。そのため、この業務に関わる印刷・加工・経理の担当者や、配送のドライバーに至るまで全員が参加し、1冊ごとに中身が異なることで、自分の仕事にどんな影響が出る可能性があるか。という検証することにしました。

オンデマンド印刷工程

お客様がネットde手帳工房のwebサイトでデザインされた手帳のデータは、1冊ごとに200ページのPDFデータとなって、サンコーにデータで入稿されます。ただし、そのままでは印刷用のデータとしては使えません。印刷に必要な情報を付加して、インデザインというソフトに貼り付け、出力用のデータに加工します。webサイト側でどんなデータを作り、サンコーでどんなデータ加工を施すのか、キヤノンITソリューションズさんとはかなり綿密な打ち合わせをして、仕様を決めてきました。その内容を製本に関わる篠原紙工の皆さんにも共有します。

実際にサンプルデータから印刷用のデータを作成します。 作業画面をちょっとだけ。見る人が見たら、結構なノウハウがここにも。

オフセット印刷では、四辺ある紙の角のどこかを基準にして、印刷の表裏(業界用語では「ひょうり」といいます)を正確に合わせることが出来ます。しかしオンデマンド印刷では、その機能がありません。そのため、表裏はあっていても、印刷位置がすべての冊子で同じ位置にあるとは限らず、数ミリ程度の誤差が発生する可能性があります。そうすると、製本の精度に大きく影響をします。具体的には、見開きのページで、左右の余白が違う。そんな事態になってしまいます。

なぜ、紙の同じ位置に印刷することが出来ないのか。実際のオンデマンド印刷機の心臓部分を見ながら、確認をしていきます。

オンデマンド印刷機の心臓部分。ここで紙を反転させなら、表裏を印刷します。 皆さん真剣な眼差しです。

毎回印刷ごとに表裏で印刷位置が合っているか、調整を行います。紙の厚さや湿度、このジョブの前にやっていたジョブの内容などによっては、数ミリ単位で表裏がずれてしまうので、きっちりと合わせます。

ミリ単位の調整を繰り返します。 表裏合わせが一番影響する断裁担当の方にも見て頂きます。 機械を見て頂いたことで、断裁精度を高めながら生産性を高めるアイディアが篠原さんに浮かんだようです。(篠原)「この幅をこうして・・・」 (篠原)「この線をこうやって・・・」(断裁担当の方)「なるほどなるほど!」2人には、作業する紙が見えているようです。

出荷前の検品

印刷が終わると検品です。大量生産の印刷では、刷り上がりの一部を抜き出し、チェックします。しかし、1冊ごとに内容が異なるワタシメイド手帳では、その方法は使えません。1冊ずつ、全ページをチェックします。でも、丁寧に見すぎると、かえって紙がしわになってしまったりするため、トラブルが発生しそうな箇所を想定し、その内容に絞ってみていく必要があります。

こんな風にめくりながら印刷不良がないかチェックします。

今までのテスト印刷では、この検品の工程で、ページの抜けが無いかについても、制作部リーダーの渡邉が、ページ番号を目で追いかけながらチェックしていました。しかし、今回のミーティングを通じて、篠原紙工さんの持っている員数機という機械でこのチェックはできることになり、サンコーでは印刷不良を中心にチェックすることになりました。

サンコーでの発送工程

この作業は、製本が終わった後に実施するものなのですが、発送作業についても関係者全員で確認します。従来の印刷では、100冊の同じ本を作ったら、その中の1冊を封筒に入れ、宛名ラベルを順番に貼って出荷すれば事足りました。しかし、100冊すべての内容が違うワタシメイド手帳の場合、どの本を、どの宛先に発送するか、間違えずに作業することは至難の業です。

ここではキヤノンITソリューションズさんが開発した、誤出荷防止システムを使って、手帳に印刷されたバーコードから宛名ラベルを出力します。さすがIT屋さん。発送間違いが起きない仕組みを作ってくれました。私たち町工場2社では作れなかったシステムです。

このあとは、『世界に1冊しかない手帳の完成を目指して(後半)』に続きます(近日公開予定)。

 

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